「名前のないような細かな家事までリスト化して話し合ったので、『私が知らなかったこんなことを知ってるんだ、こんなことが得意なんだ』という夫の意外な面が見えてきました。

たとえば、夫の修士くんは郵便物の仕分けが得意だったんです。私はためちゃったり、どこに置いたかわからなくしたりしちゃうのですが、几帳面な夫はファイルに入れて整理してくれる。
説明書や保証書も手が届くところに置いてバラバラにしていたのを、夫がまとめるようになりました。そういったことに夫が向いているということは、家事をリストにしなければ、いつまでもわからなかったと思います」

妻や母親が、家事が得意に見えるのは、「やり続けたから得意になっただけで、そんなん最初からみんな得意じゃないもん」と著書でも主張している野々村さん。
夫のほうが向いている得意な家事がわかったら思いきっておまかせしてみたり、夫が不慣れな家事については試行錯誤しながら少しずつ得意なことを増やしていけばいいと語ります。

じつは野々村さん自身も、箱入り娘だったこともあり、結婚するまで家事をほとんどやったことがなかったそう。「大さじ一杯がどれくらいの分量かを知るために、計量スプーンを片手にトレーニングに励み、家事の本を読んで修行を重ねた」といいます。

大人になってから努力して身につけた自負があるからこそ、家事というジャンルでも生まれつきの性質ではなく、経験値と工夫が大切であることを誰よりも実感しているのでしょう。

●家庭円満のためには、まず自分が我慢しないこと!

野々村さん
すべての画像を見る(全3枚)

野々村さんの家事リストは、多くの女性たちから支持され、大反響を呼びました。なかには「毎日こんなにやってたんだ。私ってがんばってるんだ」ということに気がついて、涙が止まらなかったという人もいたそう。

名前のない家事の見える化は、自分たちが今までどれだけの労働をこなしていたかを知る、いいきっかけになっています。

「毎日たくさんの家事をやっていたら、しんどくなって当たり前。妻・母が我慢してしんどくなっていくと、家庭全体がしんどくなる。どっかに悪影響が出ちゃうんですね。イライラしたり、夫への当たりがキツくなったり…。

だから、ニコニコしていられる状況なのがいちばん! 家庭円満のためには、まずは自分が我慢しないこと。“自分のために”が、“家族のために”になるんです。そして、我慢していることを減らすためには、夫との話し合いは絶対必要。でも、それは文句じゃなくて、前向きないい話し合い。

夫に『こういうところを解決できたら、私はラクになるし、もっとこんなことができるようになって、楽しい家庭になると思うんだけどどうかな?』とプレゼンみたいにするといいかもしれませんね」

野々村さんの最新エッセー『夫が知らない家事リスト』(双葉社)では、211項目の家事リストに加え、抱腹絶倒必至の愉快な切り口で妻が夫に伝えたい「あるある」ネタが満載。家事について夫にプレゼンする前の参考資料としても大活躍してくれそうです。

関連記事

「弁当は3分でつくれる」という夫が知らない名もなき家事とは?

【野々村友紀子さん】

放送作家。夫はお笑いコンビ・2丁拳銃の川谷修士。バラエティ番組の企画構成や吉本総合芸能学院(NSC)東京校の講師、アニメやゲームのシナリオ制作など多方面で活躍。最新著書は

『夫が知らない家事リスト』

(双葉社刊)