●リストにして「見える化」したら、夫の家事が“点”から“線”へ
「家の中にどれくらいの家事があって、どれほど私が毎日やっているのかを、夫につきつけてやろうと思ったんです。書き始めると、細かな家事が多すぎてぜんぜん終わらなかった。一時間以上キーボードを叩き続けて、プリントアウトすると、148項目もの家事リストができあがっていました」
すべての画像を見る(全3枚)すぐにリストを夫に叩きつけた野々村さん。夫の修士さんに自分がやっている家事に○をつけてもらったら、なんと8個しかなかったといいます。そして、この家事リストを見せたことで、妻である野々村さんの抱える家事の大変さを深く理解してくれるようになりました。
「リストをつくったことで、夫は本当に名前のない家事の存在を知らなかったことがわかりました。目の前で私が働いていたはずなんだけど、見えてても見えてなかったみたい。なにやら妻がバタバタしてるけど、なんやろな、って感じでしかない。だから、リストを見せながら『これだけあるからしんどいんです』と伝えたら、夫も『あんだけやってんねんもんね、しんどいよな』とわかってくれた。それからはラクになりました」
さらに、うれしい効果も。リストによって、主婦にしか見えなかった名前のない家事が見える化され、夫が家事の流れを理解した結果、自然と共同で家事を分担できるようになりました。
「リストによって今まで見えていなかった家事が見えてきたことで、私がこれをやっているということは、次はこれをやるんだなという、家事の流れがわかるようになったみたいです。
流れがわかるから、夫が自分の役割を自分で見つけることができるようになって、今まで私が全部一人で抱えていた家事が共同作業できる分野になった。相手が率先して動いてくれるので、こっちもお願いする必要がなく、気が楽になりました。
今では先回りして家事を手伝ってくれるように。たとえば、料理で私が材料を切っていたら、『俺、炒めようか?』と言ってくれるんです。取り込んだ洗濯物を床にバンと置いていても、それまでは私がやらなきゃだれも触らなかったけれども、今では気づくとタオルがたたんであったりする」
家事をきちんと分担してくれる夫への感謝が増して、ストレスが減り、すっかり家庭円満になったという野々村さん。家事リストはその後も更新され続け、今では211項目まで増加しました。
「かしこまって“家事について話し合おう”と夫にきりだすと身構えられちゃうけど、リストを見せながらだと、わかりやすくて楽しく確認し合えると思います。どちらかが家事で我慢することのないように生かしてほしいですね」
野々村さんの最新エッセイ『夫が知らない家事リスト』(双葉社刊)では、ユーモア溢れる痛快な野々村節で、妻が夫に対して日々モヤモヤしている家事のあれこれをズバッと描写。夫婦で笑いながら読めること間違いなし。家事の存在が見えていない夫に、「おもしろいから読んでみない?」なんて提案しやすい一冊です。
【野々村友紀子さん】
放送作家。夫はお笑いコンビ・2丁拳銃の川谷修士。バラエティ番組の企画構成や吉本総合芸能学院(NSC)東京校の講師、アニメやゲームのシナリオ制作など多方面で活躍。最新著書は
『夫が知らない家事リスト』(双葉社刊)