5月31日、都内で開かれた経団連創立70周年のパーティで、安倍首相から「明治以来の大学改革に着手する」という発言が飛び出しました。その「改革」の1つが、大学入試センター試験の廃止です。
センター試験に代わって2020年から新たに導入されるのが、「大学入学共通テスト」(仮称、以下『共通テスト』)というもの。「現役生としては、2021年4月に大学に入学するいまの中学3年生からが、改革後の入試を受ける世代となります」と話すのは、日本の教育問題に詳しい、フジテレビ・シニアコメンテーターの鈴木款さん。
具体的に、どんな試験に変わるのでしょうか?詳しいお話を伺いました。
国語と数学は、マークシートに加えて記述式問題に。英語は「話す・書く」を追加!
「『共通テスト』は、センター試験と比べて2つの大きな変更点があります。1つめは、国語と数学で記述式の問題を出題することです。国語では答えを80~120文字で書かせる問題が3問入り、試験時間がマークシート式と合わせて100分程度になります(現在の試験時間は80分)。また、数学にも記述式問題が3問程度入り、試験時間は60分から70分程度に延長されます」(鈴木氏)
―数学で記述式とは、いったいどんな内容になるのでしょうか?
「先日、そのモデル問題例が公表されています。たとえば、『公園に銅像を設置する計画があります』という前提のもと、観光客にとって見やすい銅像と台座の高さや広場の広さを計算式で求めさせる、といった内容でした」
―なるほど、実際の生活で起きる問題に沿って、数学を使ってどのように解決していくか、を聞いているのですね。
「はい。2つめの変化として、英語も大きく変わります。民間の資格・検定試験を活用して、現在センター試験で見ている『読む・聞く』に加え、『話す・書く』も合わせた4技能を評価するということです。民間の試験は主に英検、TOEICなどで、高校3年生の4月から12月の間に2回まで受けられ、結果のよいほうが採用されます」
―つまり、すべての教科において、「書くこと」「話すこと」が必要になるということですね。なぜいま、そのように試験を変える必要があるのでしょうか?
「試験の内容は、国として、どういう人材を求めているかの『鏡』です。新しいテストでは、「書くこと」「話すこと」を通じて、「思考力」「判断力」「表現力」を試す意図があります。つまり、これからの時代は、与えられた選択肢のなかから正解を選ぶ人材ではなく、みずから課題を発見し、解決していく人材が必要とされているということなのです。2024年度からは地理・歴史・公民や理科にも記述式問題の導入が検討されています」
記述式問題が増えたら、わからない問題にはあてずっぽうでマルをつける!なんてやり方は、これからはどうやら通用しなくなりそうです。
鈴木さんによれば、大学入試の変化に対応して、小中高の授業も、先生がただ知識を教えるのではなく、生徒同士で考えさせたり、発表させたりという形に変わってきているとのこと。
あなたの子どもの学校はどのように変わるのでしょうか?親としても注意して見届けていきたいですね。