最近は大谷選手や八村選手をはじめとし、アメリカで活躍するスポーツ選手が増えてきました。現地試合の様子などテレビではよく見るものの、アメリカ人が考える“日本らしさ”というのはどのようなイメージがあるのでしょうか?

今回は、アメリカ・シアトルに住んで十数年。子育てに奮闘するライターのNorikoさんに、「アメリカから感じる日本」をテーマに現地で話題のフードやライフスタイルを紹介してもらいました。

ハイチュウ
アメリカで販売されているハイチュウ
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東京五輪でアメリカ人にアピールしたものは?

大谷翔平選手、八村塁選手など、アメリカでプレーする日本人のスター選手が増えています。東京五輪での日本人選手の活躍により、さらに世界へ魅力が伝わったかもしれませんね。私も、いつもより多くテレビ観戦ができてうれしい毎日です(アメリカ人選手が出ていない日本人選手の試合は、上位に勝ち上がってくれないと見られないので)。

●日本人選手の活躍がアメリカでも話題に

日本人選手のスケートボードやサーフィンでのメダル獲得は、現地のアメリカ人の間でも驚きをもって受け止められ、大きな話題になっていました。とくに日本人の親を持つミックスの選手やアメリカ育ちの日本人選手が出場する試合は、同じくアメリカで生まれたミックスの子どもを持つ母親として、応援にも力が入ります。五輪出場までの努力や困難、葛藤、ご家族のコメントにも共感しっぱなしです。

アメリカの東京五輪番組は、富士山と五重の塔から渋谷のスクランブル交差点へと展開する映像で始まり、盆栽、桜、風鈴、朱塗りの輪橋など、アメリカ人が考える日本らしいモチーフが随所に散りばめられ、ほっこりさせられます。ちなみに、コロナ禍ということで厳しい行動制限の中での開催となったのは残念でしたが、アメリカ人の記者や選手を喜ばせたのは、日本にはどこにでもある自動販売機とコンビニの文化だそう。アメリカ生活が長い私も、日本に帰省するたびに改めて便利さに感動を覚えますので、気持ちはよくわかります。

●アメリカの地元スーパーで買える日本の食品

そんな米メディアで取り上げられていたコンビニ商品のひとつとして、バラエティー豊かな日本のお菓子があります。実はアメリカの一般的なスーパーにも並んでいて、たとえばシアトル発の業務用スーパー、コストコでも、ポッキー(グリコ)やハイチュウ(森永)、ハローパンダ(明治)、ベビースターラーメン(おやつカンパニー)はおなじみ。最近は日本製ではなさそうですが、煎餅、スルメスティック、大福、もちアイス、たい焼きアイス、どら焼きなども見かけます。日本のお菓子を東京五輪観戦のおともに、と勧めているネット記事も見かけました。

鉢に植物

また、お菓子以外の食材もたくさん。豆腐や焼きそば、ふりかけ、緑茶、しょうゆなど調味料はもちろん、今年に入って気付いたのは、日本の野菜の人気ぶり。おこもり消費の影響もあるのかもしれませんが、スーパーの家庭菜園コーナーにシソの苗があってビックリしました。シソだけでなく、日本のナスやキュウリの種、苗も売られていると聞きます。そういえば、レストランでよく見かけるようになったのが、シシトウ。大根や椎茸と並び、アメリカで一般化しそうな勢いです。もう、日本食と言えば寿司やラーメン、抹茶だけではないのですね。

シシトウ

●五感で和を感じるための、ささやかな工夫

パンデミック収束を待ちながら結局は約2年、日本に帰れていない私は、東京五輪の映像を観るにつけ郷愁はつのるばかりです。アメリカで日本製品を買ったり日本食をレストランで味わったりとなると日本の3倍ほどの価格になるため、たまに奮発してレストランで寿司など食べると、おいしいけれど切なく感じます。

そうめん

普段はそこまで高くない缶詰や乾麺で小さな幸せをかみしめる日々。そうめんだけでも、育てたシソの葉を薬味にして、ビーチマットとして売っている寝ござをすだれ代わりに吊り下げたポーチで食べれば、気分は涼やかな日本の夏。夫がルームフレグランスとして買ってきた日本の線香の煙が、ござのい草の香りと相まって、田舎の祖父母の家を思い出させてくれます(笑)。

この前は、旬を迎えたおいしいイチゴが手に入ったので、スーパーで買った大福に切り込みを入れてぐいぐいと差し込み、イチゴ大福風に仕立ててみました。

いちご大福

ジューシーで懐かしい味わいとなり、大成功! 今年はヨモギの種をまいて育てたので、念願の草餅づくりもかないました。

容器に和スイーツ

香料や着色料に頼らない本物のヨモギを使った草餅は香り高く、感動ものでした。半年前から寝かせている手作り味噌も、仕上がりが楽しみな今日この頃。

とはいえ、やっぱり恋しいのは、日本のコンビニのような手軽さで何でも欲しいものがそろう生活。東京五輪効果で誰かが目をつけてアメリカ本土に日本のコンビニを丸ごと持って来てくれないかと密かに期待しています。

最後に、アメリカの東京五輪番組内では東日本大震災の被害と復興についてのミニ特集が組まれて放映されており、「復興五輪」のメッセージもきちんと届けてくれていたこともお伝えしておきます。

【Norikoさん】

アメリカ・シアトル在住で現地の日系タウン誌編集長。フリーランス・エディター/ライターとしても、日米のメディアに旅行情報からライフスタイル、子育て事情まで多数の記事を寄稿する。著書に『

アメリカ西海岸ママ~日本とは少し違うかもしれない、はじめての妊娠&出産~』(海外書き人クラブ刊)、共著書に『ビックリ!! 世界の小学生』(角川つばさ文庫)