ペットは家族の一員。だから、ペットと一緒に暮らしたい。でも、新たに住み替えようと思っていたマンションには、ペット禁止のルールが。どうしても守らなければならない?また、もし隠れて飼って、それが発覚してしまったら、どんなリスクを負うことになるのでしょう?今回は、ペット禁止が盛り込まれている管理規約の効力についての問題です。あなたは、交通の便のいい場所への住み替えを検討し、価格も手頃な築浅マンションを見つけました。しかし、管理規約にはペット禁止が盛り込まれています。小型犬を飼っているのですが、とてもおとなしい性格です。このマンションでペットと暮らすことはできないのでしょうか?では、さっそく答えを解説していきます。
すべての画像を見る(全6枚)住民間のトラブルの原因になりやすいペット問題
ペットと暮らしたい!という人がいる一方で、動物は苦手という人もいます。また、苦手とまで言わなくても、鳴き声が迷惑だ、とか、共用スペースが汚れたらイヤ!と気にする人も少なくありません。そのため、管理規約で、ペット飼育の禁止や、制限を設けているマンションがほとんどです。
今回のケースでは、管理規約で、ペット飼育の禁止が盛り込まれている以上、おとなしい犬だからといっても、通用しません。
ということで、答えは以下のようになります。
正解…ペットの飼育はNG。やめなければ、競売請求されることも
もし、隠して飼うとしたら、区分所有者の義務違反に問われ、大きな代償を払わなければならなくなる可能性が!
というのは、マンションの居住者が円滑な生活と、財産を守る目的で制定された、区分所有法(正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」)という法律のなかに「共同の利益に反する行為停止の請求」(第57条)、「使用中止の請求」(第58条)、「区分所有権の競売の請求」(第59条)が書かれているからです。
つまり、管理組合は、規約に違反しているペットを飼う行為をやめるよう請求でき、それでもやめなかったら、住戸の使用を止める請求を行うことができます。もし、それを拒否すれば、競売請求も認められているのです。
ただこの問題を解決する方法がなくはありません。今住んでいるマンションがペット禁止の場合、管理組合に条件つきで認めるよう、規約の変更を提案するという方法です。そして総会で可決されれば、規約違反に問われることもなくなるわけです。
新築、築浅では、条件つきで認めているところがほとんど
国土交通省の平成30年度マンション総合調査では、「犬、猫等ペット飼育ルール」では以下のような結果が報告されています。
- 禁止している 47.4%
- 種類・サイズ・共用部分での通行形態等を限定し、認めている 42.5%
- 全面的に認めている 2.9%
- 規則はない 5.0%
(「犬、猫等ペットの飼育ルール」より抜粋・サンプル数1688)
となっています。つまり、マンションの9割が、ペット禁止、もしくは飼育できるペットは条件つきとなっています。
ですから、購入にあたっては、重要事項を説明を受けるときに確認することはもちろんのこと、管理規約もしっかり目を通すことが大事。
この調査結果をさらに読み込むとおもしろいことがわかります。築年数が古いマンションの方が、マンション規約でペットの飼育を禁止している比率が高いのです。平成11年(1999年)までに建てられたマンションでは、なんと過半数がペットの飼育禁止!ですから、築古のマンションを買ってリノベを考えている人は、とくに注意が必要です。
それにしても古いマンションのほうが、ペット飼育を禁止する比率が高いというのは意外ですよね。これはトラブルが起こり、再発防止のために、規約に盛り込まれたり、変更されたりしたケースが多いことが理由のようです。
しかし、平成27年(2015年)以降に建設されたマンションで、「禁止している」と答えたのは、全体のわずか1.3%。「種類・サイズ・共用部分での通行形態等を限定し、認めている」が88.5%。「全面的に認めている」も5.1%あります。
ペットを飼っている人にとって、朗報といえるのではないでしょうか。
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