12月にまさに旬を迎えているホウレンソウ。おひたし、炒め物、鍋など、食卓には欠かせない存在です。皮膚や粘膜、免疫力を正常に保つβカロテンをはじめ、貧血や冷え性を改善する鉄分やカルシウムも豊富。積極的に取り入れていきたい野菜ですが、食べるときに気になるのがアク。独特の苦みがあるうえに、ホウレンソウのアクは、尿路結石などの原因になると言われています。
ホウレンソウはゆでるときにお湯に塩を入れてアク抜きするのが一般的ですが、じつは塩よりもみずみずしい食感に仕上がり、アク抜きもできる調味料があります。それは、なんと砂糖。「なぜ砂糖がいいの?」「砂糖を入れたら甘くならないの?」などの疑問に、管理栄養士の伊達友美さんが答えてくれました。

ホウレンソウ
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みずみずしい食感に仕上げたい?だったら、ホウレンソウは砂糖ゆでが正解

ホウレンソウのアクは、シュウ酸と呼ばれているもの。塩だけではなく、砂糖にもこのシュウ酸を取り除く作用があります。「水に塩や砂糖を入れてゆでることで、細胞内の水分が塩水に移動する『浸透圧』が起き、苦みのもとになるシュウ酸が抜けるのがアク抜き。またこうすることで、水っぽくなくゆであげることができ、調味料の味もしみやすくなります」。
ここまでは塩も砂糖も同じ働きですが、さらに砂糖にだけあるのが、保湿効果。「塩ゆでしたときよりパサつきにくくなり、味わいもまろやかになるという違いがあります。ホウレンソウのおひたしやナムルなどがみずみずしい食感に仕上がりますよ」。

入れる砂糖の量は、ホウレンソウの分量にかかわらず、ひとつまみだけで十分。そのため甘味は残りません。ゆであがったら、冷水で一気に冷やしてざるにあげるのも、塩と同じです。

「ホウレンソウのほか、コマツナや白菜、キャベツなどの葉物野菜でも応用できます」と伊達さん。旬の野菜は、いろいろと調味料をつけなくても、最低限の調理で十分おいしいもの。“砂糖ゆで”を味方につけて、料理の仕上がりをワンランクアップしてみませんか?