定年という言葉が現実味を帯びてくる50代。この先は、夫婦で過ごす時間が長くなってくるので、お互いに家事を楽しむ暮らしにシフトできると理想です。ただ、夫婦がお互いに「キッチンは女性の城」と思っていたりすると、いつまでたっても家事シェアは望めません。そこで今回は、ライフオーガナイザーで整理収納のプロ・田川瑞枝さんのお宅で実践しているアイデアを教えてもらいました。
すべての画像を見る(全5枚)家事シェアがしやすいキッチンとは?
キッチンリフォームをした友人に話を聞いてみた筆者。一人は「これからの長い人生を夫婦で楽しく料理したい」とリフォームを。もう一人は「自分の好きなデザインのキッチンにするのが長年の夢だった」と語っていました。どちらも念願のリフォーム。ですが、真逆の発想だったのでとても印象的でした。
男性の家事参加が進んできている昨今、掃除や洗濯はおまかせできても、炊事はスキルの問題もあり、ハードルが高そうです。キッチンは妻の領域と思っている男性も少なくなく、女性の側も自分の仕事と思い込んでいる方も少なくありません。
キッチン仕事を夫と2人でシェアしていくのは、なかなか大変そうでもあります。でも、この先の暮らしやすさを考えると、キッチンを使いやすく見直す、よいきっかけかなと思いました。そこでわが家では、学校の家庭科室、コミュニティセンターの調理室のように、だれもが使いやすくなるように工夫して、夫の家事スキルをアップさせる機会をつくりました。
学校の家庭科室をイメージした収納に
料理をしたことのない夫が、キッチンを使えるようにするためには、どこになにがあるのかひと目でわかる工夫が必要です。
わが家は、学校の家庭科室のように、いたるところにラベルを貼っています。おしゃれなキッチンとはほど遠いですが、覚えてもらうまではこういう仕組みも必要です。
自分ではわかったつもりでも、慣れないうちは覚えられないもの。どこから出したのか、どこにしまうのか忘れてしまったときも、ラベル表示があれば迷いません。こちらもいちいち呼ばれて出向くよりも、見てわかる方がお互いにストレスフリーです。
キッチン家電は夫婦で一緒に選ぶ
家事シェアがうまくできない理由のひとつに、キッチン家電の使い方がわからないというのもあります。そこでわが家は、夫と一緒に家電を選び、お互いが気に入ったオーブントースターや電気ケトルを買いました。おかげで朝食の準備は夫が率先してつくるので、私は、朝、ゆっくり起きることができます。
キッチンは女性の城ではなく、家族の健康ステーションだと考えています。それぞれが自由に出入りし、飲みたいものや食べたいものを取り出したり、つくったり、そして片づけるのが本来の姿です。「ここは私のテリトリー」と言われると、手伝いたくても手伝えないですし、自分の家なのに遠慮して入りづらい場所があるのもおかしな話です。
これまで、おもに私が炊事をしてきたわが家では、キッチンはなんとなく私の場所といった雰囲気がありました。50代になって、この先の暮らしを視野に入れたとき、家中を夫婦2人の居場所にしていけたらなと思っています。
●教えてくれた人/田川瑞枝さん
ライフオーガナイザー、整理収納アドバイザー、ファイリングデザイナー。モノの片づけを通して、生き方の整理整頓を伝える「思考の整理収納塾」代表。時間管理、書類の整理、家計管理、住育、防災片づけ、ワークライフバランスなどのアドバイスも。ブログ「思考の整理収納塾~Sapporoちょこ*スタイル~」を更新中