コロナ禍で外出しづらい昨今。これからの家づくりでは、庭やテラスのつくり方もよりいっそう大切になっています。室内と連続するセカンドリビングにしたり、バーベキューを楽しむスペースにしたり。夢は広がりますが、やりたいことを実現するためには、テラスのタイプや使われる素材について知っておくことが大事です。建築家の新井崇文さんが、自身が設計した実例を交えて、テラスの基本について解説します。家づくりを計画している人は、ぜひ参考に!
すべての画像を見る(全13枚)庭のテラスでどう過ごす?
庭のテラスでの過ごし方はさまざまです。ちょっとテラスに出て空模様を眺める、深呼吸して新鮮な空気を胸いっぱいに吸ってみる、体操やストレッチをして体を動かす…。それだけでも気持ちがずいぶんとリフレッシュできます。家の中とは違って、外に出れば鳥の鳴き声や、そよ風や、木漏れ日など、自然のゆらぎが心地よく感じられ、疲れた体と心を解きほぐしてくれます。
小ぶりなテーブルとチェアを置くだけでも、そこはまるでセカンドリビングに。腰をかけて本を読んだり、お茶やコーヒーを片手にくつろいだり…。
季節がよければテレワークもここで。何時間でも心地よい時間を過ごせます。
ある程度の大きさのテーブルが置ければ、家族で食事も楽しめます。
卓上コンロを使った手軽なバーベキューも。テラスならではの楽しみ方です。
次はテラスのつくり方ですが、大別して「デッキ床タイプ」「舗装床タイプ」の2タイプに分けることができます。では、事例とともに見ていきましょう。
デッキ床タイプのテラスの特徴について
デッキ床タイプのテラスとは、ウッドデッキなど「隙間から水を下に排水する形状」の素材を使い、地面から浮かせた床を形成するタイプのものです。
隙間から水を下に排水するため、テラスを室内床と同じ高さでつくり、内外の連続感をもたせることができます。また、床面に水や汚れが比較的たまりにくいので、室内から裸足や靴下のままテラスに出る使い方にも適しています。
デッキ床の素材でよく使われるのは天然木。風合いのよさが特徴です。一方メンテナンスの点では、天然木であるため長期的には劣化していき、いずれは交換が必要となります。木材の樹種や塗装メンテナンスの状況などによっても、耐久性は変わります。
最近では人工木のデッキ床もよく使われるようになりました。人工木とは樹脂と木チップを合わせて成型したもの。天然木に比べて劣化しにくく、耐久性が高いのが特徴です。素材感としてはやや人工的な感じがするものの、最近ではかなり風合いのよい製品も出てきました。
舗装床タイプのテラスの特徴について
舗装床タイプのテラスとは、レンガ・タイル・石など「表面全体を覆う形状」の素材により床を舗装するタイプのものです。大雨の際には水がたまりやすいので、室内床より高さを下げてつくる、床面の水勾配を確保するなど、排水性に配慮する必要があります。一般的には土足で使うテラスとなります。
この事例はレンガで舗装したテラスです。ちなみに、ほかの事例で、タイルや石などもよく使います。この類の資材は、風合いのよい製品が数多くあります。いずれも耐久性に優れ、破損さえしなければ半永久的に使える素材。
また、耐火性・耐水性にも優れるため、バーベキューなどで炭火が落ちても燃える心配がなく、汚れたらデッキブラシでゴシゴシ洗うなど、ハードに扱うことができる点もメリットです(ただし耐汚性の程度は素材・製品によります)。
デッキ床タイプ&舗装床タイプを組み合わすのもアリ
テラスのつくり方として「デッキ床タイプ」「舗装床タイプ」の2タイプを見てきました。もし庭のスペースに余裕があれば、双方を組み合わせるのもよいかもしれません。これらを参考に、家族の生活スタイルに合った庭やテラスのイメージをふくらませてみてはいかがでしょうか。