疲れを癒すバスルームの満足度は、毎日の暮らしの心地よさに関わる大切な要素です。掃除やメンテナンスのしやすさも大切ですが、今回編集部では「心地よい時間を楽しむ」という観点に注目してみました。これまで取材してきた数々の物件から、2つのオリジナルのバスルームをピックアップしています。バスルームのプランニングの際、デザインや素材、空間の演出の参考にしてみましょう。住まいのグレードがいっそう上がること請け合いです。
すべての画像を見る(全9枚)ホテルライクなくつろぎ感のあるバスルーム
最初のケースは(冒頭の写真)、二世帯住宅にリノベーションしたお宅のバスルーム。妻の母と同居することにしたMさん夫妻の住まいです。リノベーションを機に妻は、憧れだった広くて明るいホテルのような浴室を実現させました。
念願の浴室は、勾配天井で高さを出し、デッキとつながる開口部を設けて明るく開放的に。洗面とトイレをひと部屋にした3in1スタイルを採用し、よりのびやかな空間にしています。
また、壁や浴槽のエプロンは、天然石ならではの縞模様が美しいトラバーチン貼り。洗面コーナーまで伸びる鏡に間接照明を仕込んだり、水回り設備のブランドを厳選したりなど、こだわりは細部に及びます。
「オーバーヘッドシャワーもとても気持ちよくて、海外のホテルにいるようにくつろげます」(妻)
「足を伸ばしてゆったり入れる」と夫にも、好評な浴槽。鏡の映り込み効果で浴室は実際以上の広がりが。左手に見えるのがデッキの出入り口です。
トイレの前に取り付けたタオルウォーマーで冬も快適です。
セラトレーディングのスタイリッシュな洗面ボウル。カウンターの下や鏡の右端に設けた収納で、洗面回りはいつもすっきり。
ハンスグローエのオーバーヘッドシャワーとハンドシャワー。シャンプー置き場もトラバーチン貼りに。
<東京都 Mさんの家>リノベーション設計/DIG DESIGN 撮影/桑田瑞穂
素材の妙と開放感で高級旅館の露天風呂気分を毎日味わう
坪庭から降り注ぐ日差しで明るい浴室。まるで温泉地の高級旅館かと錯覚してしまいそうなこのバスルームは、浜田さんのお宅のもの。印象的なブルーの十和田石にコウヤマキのバスタブが映え、お湯につかれば正面に坪庭が窓を開ければ露天風呂に早変わりします。
設計当初から、「十和田石を使いたい」と添田さんの夫が望んでいたことから、床全面と腰壁に採用。水に濡れても滑らず保湿性に優れており、濡れると青さが一層際立ちます。
石材は硬質な印象を与えがちですが、バスタブや壁に木をふんだんに使うことで温もりを感じさせ、しっとりとした和の風情も加わります。
「石の模様に見入ったり、外を眺めたりして、ついつい長風呂になります」(夫)
バスタブはオリジナル。坪庭側を全面窓にし、反対側の浴室ドアもガラスにすることで、脱衣室、洗面室へも視線が抜け、1坪強という実際の広さ以上の開放感をもたらします。
脱衣室と完全に分けた洗面室が隣接します。
壁付けのマリンランプ(写真左)の光が、木に美しく反射してリラックス感を高めます。十和田石の横のラインとヒバ板の縦のライン(写真右)を、直角に交差させることでデザインにメリハリを。「石×木」という質感の違う素材による、組み合わせの妙も楽しめます。
<神奈川県 添田さんの家>設計/acaa 撮影/目黒伸宣