「奇跡の79歳」と話題のパリジェンヌ、弓(ゆみ)・シャローさんをご存じですか? 日本の名家に生まれ、28歳でパリに渡り、イラストレーターやファッションブランド「プチバトー」などのデザイナーとして活躍。現在はフランス人の夫とふたりで、パリで暮らしています。79歳という年齢を聞いて驚いてしまうほど、若々しくおしゃれな弓さん。それは、自分に似合うシルエットやアイテムを知りつくし、自分らしいファッションスタイルを確立しているから。著書『パリが教えてくれたボンシックな毎日 ときめくものだけシンプルに。暮らしのセンスアップ86の秘訣』(扶桑社刊)でも語られている、弓さん流おしゃれのルールについて、詳しく教えてもらいました。
すべての画像を見る(全3枚)洋服を買いすぎてしまう人は、自分の「好き」に向き合ってみて
自分らしいスタイルを確立している弓さんも、かつて初めてパリに渡ったときは、パリジェンヌたちのファッションに衝撃を受けました。「やっぱり髪の色や目の色、スタイルが違いますから。シンプルな黒いワンピースを着てゴールドのアクセサリーを少しだけ、髪はブロンド。それだけでおしゃれに見えます。うらやましかったけれど、だんだん研究していくうちに、自分に似合うと思えるものがわかってきました」。現在、身長152cm、体重45kgと小柄な弓さんは、「自分の体型には合わないから」と、スカートやワンピースは一切着ないそうです。
●40代をすぎたら、黒=無難な色ではない!
コーディネートにもこだわりが。「日本人の女性は、シンプル=無難と思って、ただ黒を着て地味になっていることが多い気がします」という弓さん。たとえば黒を着るなら、トップスにハリ感やツヤ感のある素材をもってきたり、ネックレスやブローチなどのアクセサリーを駆使したりするのがルール。「20代30代ならアクセサリーも小物も不要ですが、40代を過ぎて肌ツヤが衰えてくると、ひと工夫が必要になります。黒を着るなといいたいわけではありません。年齢に合った着方をしましょうね」。
●洋服がダメにならないように、クローゼットには余裕をもたせて
洋服を買うときに、いちばん心がけているのはサイズ感。「きちんと時間をかけて試着して、手足もあれこれ動かしてみてサイズが合ったものを求めます」。最近はネット通販を利用する人も多いと思いますが、弓さんは「試着に妥協は禁物」と断言します。「少しでも違和感があってお直しがきかない場合は、どんなに好きなデザインでも潔く諦めます。無理して買った服は、結局タンスの肥やしになりがちですから」。タンスの肥やしが増えれば、クローゼットがぎゅうぎゅうになってしまいます。気持ちよく洋服を着るためには、それは絶対にNGなのだそう。「クローゼットにいっぱいになると、それだけで洋服が型崩れするし、生地も傷むし、立体感がなくなるし、ダメになっちゃうんです。お店では、洋服がふわっとした状態で、余裕をもってディスプレーされていますよね。家であそこまでやるのは難しいかもしれないけど、そのイメージで、洋服を大事に扱ってほしいですね」。
●買い物に失敗してしまったら、なるべく早く手放すのがコツ
そんな弓さんでも、買い物に失敗してしまうこともあるそう。買ってから「やっぱり似合わない」と思ったときは、なるべく新しいうちに手放すのがコツです。「私の場合は、姪や姪の娘にあげています。『いつか着るかも』と思って取っておいても、結局着ないし、時間が経つと旬を過ぎて、あげるにもあげられなくなる。ちょっと惜しい気持ちもありますけど、ここが踏ん張りどころです。その服が似合いそうな相手に『あなたのために買ったの』なんて言ってあげれば、喜ばれるし、一石二鳥ですよ(笑)」。
最後にこんなアドバイスもESSE編集部にしてくれました。「パリジェンヌは、自分の生活スタイルが一貫している人が多く、余計なものは買いません。あれもこれもといろいろなタイプの服に目移りする人は、生き方が定まっていない人ともいえるんじゃないかしら。洋服だけではなく、インテリアや食器など、生活全体の『好き』をはっきりさせると、自分のスタイルについて迷わなくなり、毎日を快適に、機嫌よく過ごせるはずですよ」。
好きなものに囲まれていれば、おのずと機嫌もよくなり、毎日を楽しく過ごせます。弓さんからのアドバイス、ぜひ参考にしてみてください。