賃貸に比べ、持ち家のデメリットされる「家のメンテナンス」。実際、中身はどのようなものになるのでしょう。「2020年8月で築15年目に突入しました。現在高校3年と1年の息子たちは、新築時は3歳と1歳でした。定期的な点検を受けながら家のメンテナンスをしていますが、改めてメンテナンスの重要性を実感しています」そう語るのは、くらし評論家の大木聖美さん。快適な生活環境を築くために、また、費用面においてメンテナンスと家族のライフイベントのバランスをとるためにどんなことを考えたのか。経験した自宅の点検とメンテナンスについて、詳しく教えてくれました。

大木さん宅の外観
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目次:

6か月、1年、3年、5年、10年点検を経て今年15年目に重要な10年点検を機にメンテナンスしたのはここメンテナンスのタイミングは家と家族のタイミングを考えて15年目のタイミングでオール電化へのシフトと宅配ボックスの設置を検討家は建てて終わりではなく、住み始めてからがスタート!

6か月、1年、3年、5年、10年点検を経て今年15年目に

わが家は某ハウスメーカーの注文住宅の一戸建て。定期的なメンテナンスをしっかりやってくれるから安心だなと思ったのも、このハウスメーカーに決めた理由のひとつです。

最初の点検は3か月目でした。点検というほど大げさなものではなく、設備機器や電化製品が不自由なく使えているかをヒアリングするような感じでした。

湿度の関係で壁紙が動いていすきまができていないか、ドアの使い勝手や床のきしみがないかなど、住み心地を丁寧に聞き取りしてくれて安心した覚えがあります。その後6か月点検、1年、3年、5年、10年、そして15年点検と続きました。

大木さん宅の玄関

6か月点検以降は基礎の調査と外壁面の調査、下水管のチェックが中心。1年点検以降は床下と天井の点検も加わり、水漏れやシロアリ被害がないかを目視で確認してくれています。今年15年点検がありましたが、やはり内容は同じでした。

重要な10年点検を機にメンテナンスしたのはここ

10年点検は今までより大がかりで、ファイバースコープを入れてかなり細かいところまでチェックしてくれました。屋根や屋根裏、床下については写真の提供があり、普段目にできない箇所まで確認させてもらえたので安心でした。

10年目を機にメンテナンスしたのは下記の4か所です。また、足場を建てたのを機に屋根に太陽光発電を設置しました。

屋根に太陽光発電を設置

1.外壁(サイディング塗り直し、ゴムの貼り直し)

外壁の汚れを落とし、サイディングを塗装し直し、目地のゴムを貼り直しました。塗装するので色を選べます。わが家は以前と同じ色を選びましたが、変えたい場合はここがチャンスです!

2.ベランダの防水加工

ベランダの形状にもよりますが、防水がしっかりしていないと家全体の水漏れや劣化に繋がってしまうそうなので、しっかりと取り組んだ方が良いと思います。

3.屋根の塗り直し

ベランダ同様、365日雨風にさらされている箇所なので、屋根は傷みが一番激しい箇所のひとつになります。屋根の劣化は家の劣化に直結します。自分ではどうすることもできない箇所なので、しっかりメンテナンスしてもらいました。

4.防蟻処理

床下のシロアリ対策用の塗装を再度施しました。床下、天井裏、基礎、外壁、排水管などについては、検査した結果どこにも異常はないとのことでほっとしました。

メンテナンスのタイミングは家と家族のタイミングを考えて

メンテナンス中の玄関

わが家が10年目に行ったメンテナンスは、実はどれも15年目くらいに行っても良い内容でした。
ですが、15年目だと子ども達が大学受験前の一番お金がかかる時期と重なるため、その前に済ませておきたいねと新築当初から家族で決めていました。

今年15年目を迎え、子ども達の塾代を含む教育費と、この先やってくる大学の入学金や授業料のことを考えたら、正直、家のメンテナンス代を工面するのは大変だったかも、と感じています。

かといって家のメンテナンスを先送りして劣化が進みすぎると、大規模な修繕にもなりかねません。

住み始めて数年目は気付かない家の劣化も、10年目が近づいてくるあたりから急に気になり出してきます。長い目で見ると、支出を分散させるという点では家のメンテナンスを10年目に行ったのは正解でした。

家のメンテナンスのタイミングとライフイベントをよく考慮し、最適な時期にメンテナンスができるよう、心の準備とお金の準備をしておくことをおすすめします。

15年目のタイミングでオール電化へのシフトと宅配ボックスの設置を検討

大木さん宅のキッチン

そろそろ寿命が来るのがガスの給湯器。わが家は新築当初からIHコンロを使っており、お風呂だけガスを使っています。

築10年目で念願だった太陽光発電をつけたこともあり、これを機にエコキュートに変えてオール電化へシフトしてはどうかとハウスメーカーの担当者さんから提案されました。ちょうど同じように考えていたところなので、現在前向きに打ち合わせが進んでいます。

またこの先の暮らしのことを考え、宅配ボックスの設置も検討中。築10年目に大がかりなメンテナンスを済ませてあるので、15年目では家を少しアップデートするための検討ができているかなと感じています。

家は建てて終わりではなく、住み始めてからがスタート!

今までに一か所だけリフォームをした場所があります。それは1階の洗面脱衣所です。

築12年目に水漏れしました。蛇口のシャワーホースに経年劣化からくる亀裂が入っており、ここから水が床下に流れ出ていたのが原因でした。床下の張り替えが発生したため、これを機に1階の洗面所を全面リフォームしたのです。

リフォームした後の洗面脱衣室

そのリフォームのおもな内容は、洗面化粧台の交換と、壁紙と天井の張り替え。背面の収納棚は以前のものをそのまま使用しています。

リフォーム費用は、火災保険の項目に「水漏れ保証」があったので、それを有効活用しました。

築15年も経つとあちこちの劣化が気になってきます。家は水回りから悪くなると聞きますが、本当にその通り!次リフォームするとしたらトイレかな、なんて思っています。

壁紙の汚れも気になり出しました。いつリフォームできるは分かりませんが、そろそろアンテナを張って情報収集だけはしておこうと思っています。

家は建てて終わりではなく、住み始めてからがスタート!家は雨風にさらされながら私たちの暮らしを守ってくれている究極の消耗品です。適切な時期に適切なメンテナンスを施して、より長く快適な環境を保っていきたいなと思っています。

●教えてくれた人/大木聖美さん
横浜在住の整理収納アドバイザー。片付け・掃除・家づくりなど暮らし全般の情報を日々ブログ「我が道ライフ」にて発信中