太陽からの明るい光、気持ちの良い風…戸外と室内をつなぐ窓。家の居心地よさを決めるのに、窓は大きな役割を果たします。家を建てる、リフォームするという人は、窓についてもっと考えてみましょう。例えば、住宅密集地で思うような採光が望めないという敷地でも、窓の形状やつける位置を工夫すれば、快適な採光や通風をかなえることもあるのです。ここでは、デザイン、開閉方法、取り付け位置などといった観点から、様々なバリエーションの窓を紹介。あわせて、断熱性や防災性についても解説します。

大きな窓のあるリビング
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目次:

採光・換気・防犯性。窓に求めるものは?開閉方式と形状で選ぶ窓のバリエーション機能性ガラスでより快適に!

採光・換気・防犯性。窓に求めるものは?

建築基準法で、「居室の床面積の7分の1以上、採光に有効な開口部を確保しなくてはならない」と定められているように、快適な暮らしのためにも窓は不可欠です。

もし日照が今ひとつの敷地の場合は、天窓や高窓の設置が有効で、スクリーンをつければ直射日光の強さも調節できます。

また防犯性を優先したい場合は、侵入できず、室内が丸見えにならないアクセント窓(ミニサイズやスリムサイズの窓)を配置する方法がおすすめ。

窓の開閉方法や形状は多彩で、なかには、排煙用など換気性を重視したものもあります。目的を考えて適材適所の窓を選びましょう。

開閉方式と形状で選ぶ窓のバリエーション

光を採り入れるのはもちろん、換気に特化したものやデザイン性を高めるものまで、様々な窓があります(※文中の「障子」は窓の可動部を指します)。

引き違い窓

引き違い窓

左右に開閉する最もポピュラーな窓。障子の開け方で、通風の加減を調節できます。

フィックス窓
フィックス窓

窓が開かない、別名はめ殺し窓。換気を必要とせず、採光や眺望が欲しい場所に最適。

片引き窓
片引き窓

片方がフィックス窓で、もう片方が開閉する窓。フィックス窓を左右どちらにつけるかを選べます。

両袖片引き窓

両袖片引き窓

真ん中がフィックス窓で、両側が開閉する窓。

片上げ下げ窓

片上げ下げ窓

上下2枚の障子で構成され、上は固定、下だけを上げ下げするタイプ。

すべり出し窓
すべり出し窓

左右のアームに支えられた障子が、枠に沿って外側に開閉。清掃時や換気時に便利。

上下左右の4枚がすべり出し窓

ソファ背面の壁にある6カ所の窓のうち、上下左右の4カ所がすべり出し窓です。

縦すべり出し窓
縦すべり出し窓

上下のアームに支えられた障子が、枠に沿って外側に開閉。洋風住宅への採用が多い窓です。

内倒し窓
内倒し窓

障子を室内側に倒して開く窓。大きく開閉しないので、窓からの落下防止に効果的。

外倒し窓
外倒し窓

障子を室外側に倒して開く窓。排煙用に高所へ設置することが多く、リモコンで開閉します。

出窓
出窓

室内からの眺望と採光性に優れた窓。室内スペースを広く感じさせる効果も。

天窓

天窓

屋根につけ、光をたっぷり採り込める窓。開閉できるタイプとフィックスタイプがあります。

全開放引き込み窓
全開放引き込み窓

全開にすると障子がすべて袖壁の外側に引き込まれ、大きな開放感が得られます。

折り畳み窓
折り畳み窓

障子を折りたたんで開閉できる全開放型の窓。室内・屋外をつないで一体感をつくれます。

アクセント窓
アクセント窓

住宅の内観・外観を豊かにデザインできる小窓。防犯や防視にも効果的。細長いタイプは玄関や廊下などの狭い場所にも便利。

小窓

正方形、丸、ひし形など様々な小窓も。

小さな丸窓

小さな丸窓をリズムよく並べてインテリアと外観のアクセントに。

機能性ガラスでより快適に!

大きく開放的な窓は気持ちがいいものですが、そのぶん、熱の出入りも多くなります。冷暖房効率を高めるためにも、窓をはじめとした開口部は、断熱性能にも配慮したいところ。そこで注目したいのが、複層ガラスなどの機能性ガラスです。

Low- E 複層ガラス(遮熱)

Low- E 複層ガラス(遮熱)

例えば、遮熱タイプの「Low-E 複層ガラス」。室外側ガラスをLow-E 金属膜でコーティングすることで冷暖房効果が向上し、節電効果を発揮します(寒冷地用の断熱タイプも)。

防災安全複層ガラス

防災安全複層ガラス

「防災安全複層ガラス」は、ガラスの間に強く柔軟性に優れた中間膜を挟んで加熱・圧着加工した合わせガラスを用いたもの。このほか、防音を目的とした複層ガラスなどもあります。

空が見える窓。心地よく風が抜ける窓。小さな窓からこぼれる木漏れ日のような光…。窓を工夫すれば生活シーンはもっと豊かなものに。断熱などの機能性も考慮しながら窓を計画して、快適な暮らしを手に入れましょう。

●教えてくれた人/米村拓生
一級建築士、インテリアプランナー、住宅性能評価員。東海大学工学部建築学科卒。設計事務所「アトリエT+K」を主宰する

画像提供/YKK AP ※一番上の写真:設計/ディンプル建築設計事務所 撮影/川辺明伸