現在の岡野さんの住まい(撮影 山田耕司)リノベーションには、中古不動産を購入してのリノベーションと、今住んでいる自宅のリノベーションと、大きく2種類があります。大枠は同じなのですが、スケジュールという観点で考えると両者には大きな違いがあります。後者の「自宅リノベ」はリノベーション工事中の「仮住まい確保」が大変、と話すのはリノベーション会社「EcoDeco」の社員で、8年住んだ自宅マンションをリノベーションした経験を持つ岡野真弥さん。ご自身の自宅リノベ時にもこの難関にぶつかったそうですが、それをどう乗り切ったのか、お話を伺いました。
すべての画像を見る(全2枚)まずは仮住まいの条件と時期を検討
岡野さんのように今住んでいる自宅をリノベーションする場合、工事期間中は仮住まいをする必要があります。
工事期間はおよそ2か月。その前後に引っ越しや賃貸契約、電気や水道の契約などが発生することも考えると、仮住まいの期間は約3か月。この短い期間だけ貸してもらえる賃貸物件を探さなくてはいけません。
岡野家の場合は、以下が条件でした。
・小学生の子供に、グループが変わるにしてもいつも通り集団登校をさせたい
・共働きで電車通勤しているので、駅から徒歩圏内にとどめたい
・以上のことから「現在の学区内」かつ「駅から徒歩15分以内」の物件に住みたい
という希望があり、「現在の学区内」かつ「駅から徒歩15分以内」という条件で賃貸物件を探し始めました。
さらに工事時期(仮住まい時期)については、「2~3月は賃貸物件の動きが活発な時期だから、新年度になって賃貸の動きが落ち着いた頃に空室の賃貸物件があれば貸してくれるだろう」と踏んでいた岡野さん。
ゴールデンウィークくらいから探して、すぐに引っ越して、5月末くらいから工事スタート。
そして、5月末着工にするためには、5月中旬頃に工事契約になるから、銀行のローン契約はゴールデンウィーク明けから動こう。そんなスケジュール感で考えていたといいます。
仮住まい探しは難航しがち
ところが!その時期が来て、いざ仮住まい探しをスタートしてみても、全くといっていいほど見つからなかったと言います。
ゴールデンウィーク明けの時点で空室の賃貸物件に問い合わせても、「長く借りてもらえる方用に室内を綺麗にしたので、短期間はちょっと…」と断られる始末。
学区や駅からの距離という条件ゆえに候補物件は限られるうえ、3か月という短期間で退去、というのが不動産屋を渋らせます。
短期賃貸にも対応しているUR賃貸住宅を活用
では、自宅リノベを行っている方々は仮住まい問題をどうクリアしているのでしょうか。
岡野さんが勤めるリノベーション会社EcoDecoで自宅リノベをした方のなかには、近所のUR賃貸住宅を仮住まいにした方もいるそう。
UR賃貸住宅は礼金や仲介手数料などがかからないため初期費用が抑えられますし、短期賃貸にも対応しているので自宅リノベの仮住まいにはピッタリです。
ただ、岡野さんの住む街にもUR賃貸住宅物件はあるものの、残念ながら通っている小学校の学区外。小学2年生の子どもに学区外からひとりで登下校させることを不安に思い、断念しました。
最後は「数打てば当たる作戦」を決行
待っていても条件に合う仮住まいは見つからないと思い、岡野さんは最終手段「数打てば当たる作戦」を決行します。そしてある不動産会社に空室物件の問い合わせをした際、奇跡が起こりました。
「確かに空いてますけど、長く住んでもらえる方用に綺麗にした部屋なのでちょっと…」と、はじめは今までと同じお断りの流れだったといいます。
「でも、今新築を建てている人が同じマンションの別の部屋で仮住まいをしていて、その方が出た後ならその部屋を貸せますよ」という想定外の知らせが!
その時期を聞くと、新築完成予定が7月末とのこと。
「待ちます! その方が退去するまで待ちますので、次、貸してください!」と伝え、岡野さんの仮住まい探しはひと段落。
銀行の担当者と工務店には「工事着工は5月末ではなくお盆頃」と連絡し、関係しそうな外堀を埋めていく作業を進めていきました。
まとめ
自宅リノベの際はマンスリーマンションやUR賃貸住宅、一般の賃貸住宅、夫婦どちらかの実家など、どこかしらに仮住まいを確保することが必須になります。
リノベーションのスケジュールを検討する際には、仮住まいのことも視野に入れて考えるとよさそうです。
そして、工事着工が予定より数か月先延ばしになった岡野家は消費税増税前に工事が完了せず、消費税は10%になってしまいました。それでも仮住まいが見つかったのはラッキーだったと話します。
早め早めに行動して、それでも見つからなければ、岡野さんのように最後は「数打てば当たる作戦」で諦めずに挑むのが良さそうです。
取材協力/EcoDeco