自らの収納ノウハウを詰め込んだ「収納御殿」の実現を目指し、リノベーション専門誌『リライフプラス』の連載「収納王子コジマジックの家づくり武者修行!」でも修業を続けてきた収納王子コジマジックさん。2019年7月末、ついに東京・目黒区内の閑静なエリアで理想の土地を入手。予算は土地+3階建てで約1億円。土地を入手してから約半年後に棟上げを迎え、以後屋根工事、窓や玄関ドアの設置、電気の配線工事、断熱工事などを経て、ようやく内装工事に。今回は自慢の収納も取り付けられた内装工事および、同時進行で行った外装工事の一部をお届けします。

テレビボード
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目次:

まずはコンセントの位置確認。コレ重要!練りに練ったTVボードがわが家に!キッチンを現場でセットアップ!学習デスクがついて、入学準備OK階段が取り付けられ、いよいよ家らしくクロス貼りを迎え、内装はクライマックス外壁はメンテナンス性と質感のよさを追求!

まずはコンセントの位置確認。コレ重要!

内装工事の直前にコンセントの位置確認を行います。工事が完了してから「失敗だった」と思っても遅いのがコンセントの位置や数。それだけに家族の動線など、具体的なイメージが重要です。「こと細かにシミュレーションし、リガードさん(建築会社)には申し訳なく思いながら、何度も位置の変更や調整をお願いしました」とコジマジックさん。

写真はいずれも3階で、主寝室に設置するテレビの位置確認から。テレビはベッドの高さから一番見やすい位置に設置するのが鉄則。「一般的に、ベッドで寝ながら見るときの高さは、床から1.5mがテレビ画面の中心になるとちょうどいいと言われます」とリガードの小山さん(右)。「床から設置予定のベッド上面までの正確な寸法を購入先の大塚家具さんに計ってもらい、やや高めの1.54mにしてもらいました」とコジマジックさん(以下同)。

コジマジックさんとリガードの小山さん

コンセントの位置は、検討や変更を重ねたうえで足側のコーナーの隅に。「いずれ妻と2人で使う部屋ですが、最初は子どもも一緒でベッド3台を並べるため、部屋はギッチギチの状態。なるべくベッドに緩衝しない位置を選びました」。

コンセントの位置を確認するコジマジックさん

その上にはエアコンが。コジマジックさんが指差すのがそのコンセント位置です。「これもずっと気にしていたんですけど、コンセントの位置はエアコン本体の後ろ側、配管は上。どちらもベッド側から見えない位置でホッとしました」。

エアコンのコンセントの位置を確認するコジマジックさん

3階のほぼ中央、収納部の側面に追加で依頼したのがニッチ収納。壁のくぼみにインターホンのモニターをつけてもらうそうです。「最初は2階にモニターがあればOKと思っていたのですが、妻がやはり3階にもほしいとリクエスト。それもそうだなと思い、急きょ設置スペースを確保してもらいました」。

さらに、ネット環境を快適にするための無線LAN中継機もここに置く計画。「コンセントをより効率的に使うために、どういう設置の仕方がいいのか、まだちょっと検討してもらっているところです」。

スタッフのみなさんと入念な打ち合わせ

コンセントの位置確認は終日かかったそう。ここでしっかりと決めれば後のクロス貼りなどもスムーズなので、入念な確認作業が欠かせないようでした。

練りに練ったTVボードがわが家に!

コンセントの位置確認から2週間。窓枠・ドア枠が張られ、石膏ボードの設置が進められ、だんだん「部屋」らしく感じられるようになりました。

窓枠・ドア枠が貼られた状態

石膏ボードにビスを打つ間隔(ビスピッチ)を正確に示す定規代わりのボードを発見。「3階建てなので強度を保つためにピッチが狭く、このほかビスの長さや種類など、すべて法令で定められているそうです」。後日になりますが、表面にパテを塗って滑らかになるようそぎ落とし、クロス貼りへと進みます。

ビスの位置を指し示すコジマジックさん

さて、この日のメインは2階リビングのTVボードの設置。これはコジマジックさんと大建工業のコラボ商品「MISEL 収育スタイリング」のひとつ。コジマジックさんならではのアイデアの光る工夫が満載です(コラボ商品は2020年8月発売予定)。リビングの間口と高さをフル活用できるよう、収納のサイズをミリ単位で調整。テレビをセンターに設置し、収納がその周囲をロの字型に囲むプランです。

「リビングは収納するモノが意外と多い空間。特にわが家は子どもたちが小さいため、家族がリビングで過ごす時間が長く、雑多なモノが多い。来客も多いので乱雑にならないよう、収納計画はしっかり行いました」。

収納付きTVボードを取り付けている様子

特にこだわったのは、ティッシュ収納とゴミ箱収納。どちらも子どものいる家ではしょっちゅう使うアイテムです。「ティッシュは箱を横向きに入れて、横からスッと引き抜く使い方。わざわざ扉を開けずに済み、納まりもスマートです」とコジマジックさん。その上に、普通のティッシュが9箱、厚みのある高級ティッシュだと5箱納まるよう設計されています。

こだわりはティッシュ収納とゴミ箱収納
オープンな飾り棚を想定

コジマジックさんの手が示すあたりはオープンな飾り棚とする予定、と奥さまに説明。「デジタルフォトフレームを置いたらどうかな」。「いいんじゃない、楽しみ!」と奥さま。

コジマジックと奥さま

半日かけてついに取り付けが完了しました。「見事ピッタリで満足! 上部や左右に空きがないため収納が壁のように見え、圧迫感がないのが自慢です」。なお左下に見えるすき間は、ロボット掃除機の基地。フロアごとにロボット掃除機を備えるそうです。

完成したテレビボード

扉を開けるとこのようなレイアウトになっています。「ロボット掃除機の基地の上は、縦長の棚でスティック型掃除機の定位置。置き場所が決まっていると、奥さんだけでなく家族だれでも掃除しやすい。気になったところをサッと掃除できますからね」。

さらにその上(いちばん左上)は無線LANルーターの定位置。「2階の階段近くで上下に電波を飛ばしやすく、かつ高い場所なので無線LANの電波を妨害しがちな床暖房の金属製パネルの影響も受けにくい。いい場所を選びましたね、と電気工事の方に褒めてもらいました」。

一方右下の白い箱はゴミ箱。扉を閉めて上からゴミを落とす仕組みで、見た目がスマート! キャスター付きでゴミをまとめる際に手前への移動もラクちんです。

扉を開けたときのTVボードの収納レイアウト

キッチンを現場でセットアップ!

翌日は、2階北側に位置するキッチンの取り付け。設置するのは、無垢材を生かして温かみを感じさせるウッドワンの無垢の木のキッチン「スイージー」です。デザインは手前側のLDを見渡せ、家族で囲みやすいアイランドキッチン。壁の奥はパントリーで、左右両脇から入れて行き止まりのない快適動線になっています。

キッチン設置前の状態

まずは背面の収納部を設置しました。手前に見えるのがキッチンキャビネットの本体。

背面収納を設置

レンジフードの設置。ダクト工事は後日行われます。

レンジフードを設置

食洗器を設置します。「キッチンをつくるにあたり、マストでお願いした食洗器。これで毎日の食事やママ友との集まりが快適になります」と奥さま。

食洗器を設置

とっぷりと日が暮れた頃にキッチンが完成! 無垢材の扉が取り付けられると、まるで家具を思わせる仕上がりです。「システムキッチンというと完成品をドカンと据えるイメージだったのですが、実際にはキャビネット本体、無垢材のドア、食洗器などの機器類、上面などを現場で組み上げて完成。一連の作業を興味深く見学しました」。

キッチンの調理台下と対面側のいちばん下、さらに側面と3つのコンセントをつけてもらい、コジマジック邸仕様に。「つける位置を確認し、現場優先でつけてもらえたので、失敗がなくて良かったです」。

完成したキッチン

コジマジックさん曰く「妻がいちばん輝けるステージ」であるキッチンが設置され、さっそく輝きオーラを放つ奥さま。「大容量のパントリーを備えているのでキッチンをスッキリと保ちやすく、子どもたちがいて何かと乱雑になりがちなわが家にピッタリです」。

完成したキッチンと奥さま

下の写真は完成したキッチンと収納本体を養生し、床にフロアタイルを貼っているところ。フロアタイルはサンゲツのスムースモルタルIS891をセレクト。LDの木製フローリングと切り替えて清掃性を高めました。後日、壁のタイル貼りが行われます。

床にフロアタイルを貼り付け作業

学習デスクがついて、入学準備OK

同じ2階のリビングに設置されたのが、お子さんたちのリビング学習デスクの一式。TVボードと同じく、コジマジックさんのアイデアを生かした大建工業とのコラボプランです。

リビング学習デスクを設置

子どもたちはうれしくて大はしゃぎ!「自分の机を持てたのがすごくうれしいみたい。ぼくも子どもの頃そうだったので、よく分かります」。

学習デスクをリビングに設置するメリットは?「子どもがいつでもわからないことを親に質問でき、親は子どもの得手不得手を知ることができます。あと、ある程度の生活音に慣れることによって集中力アップに繋がるとも言われているんですよ」とコジマジックさん。

デメリットは?「学習用品やランドセルなど、モノが増えてしまうことですね。だからこそ収納スペースがしっかりと考えられた学習デスクがあると便利ですよね!」

扉材はTVボードやフローリングと同系色であるトープグレーに。学習デスクに「あるある」なお子様っぽさがなく、将来、子どもたちが自分の部屋を使うようになったあとも多用途に使えそうです。

自分の机を持てた子どもたちは大はしゃぎ

洗面台と収納の取り付け工事も同時進行。こちらはオーダー家具製作のアムス工房による造作で、同社には洗面室のリネン庫、ファミリークローゼットの作業台も発注。木の温もりが、毎日の使い心地を高めてくれそうですね。

洗面台と収納の取り付け工事

階段が取り付けられ、いよいよ家らしく

それまでハシゴで昇降していたコジマジック邸に階段が取り付けられました。まずは1階と2階をつなぐ階段。階段下空間は収納に有効活用し、階段1段目の下は、ロボット掃除機の基地とする計画。無駄のない空間利用はさすがですね。

1階と2階をつなぐ階段は収納付き

2階と3階をつなぐ階段は、LDKワンルーム空間のフォーカルポイントにもなるよう、階段室をオープンにし、アイアン製のスケルトン階段に。シンプルでインダストリアルな感じがコジマジックさんの好みにピッタリです。

2階と3階をつなぐ階段はアイアン製のスケルトン階段

職人さんが3階の手すりを塗装中。手すりが思いきりスリムなため、居住空間が明るくなり、より広く感じられる効果も。

3階の手すりを塗装する職人さん

クロス貼りを迎え、内装はクライマックス

壁や天井のクロス貼りに突入です。こちらはパテ塗りの様子。凹凸になりがちな個所に塗ります。石膏ボードの継ぎ目となる部分には、前もって下地テープが貼られています。

天井をパテ塗りする職人さん
下地テープが張られた継ぎ目

余分なパテを専用のヘラでそぎ落とし、表面を極力平滑にします。

壁に塗られた余分なパテを削ぎ落としている職人さん

いよいよクロス貼り本番。子ども室には子ども自ら選んだサンゲツのクロス(娘さんはピンク、息子さんはブルー)を貼ります。「糊付け機でクロスに糊を塗り、それを乾かないようにしながら持ってきて、貼って仕上げるまでの作業が、もうメチャクチャ早くて見とれてしまいました」。

クロスを貼る職人さんの作業に見とれるコジマジックさん

上から専用のローラーで仕上げているところ。

専用ローラーで仕上げる職人さん

できました!

クロス貼りが完成

こちらは主寝室。サンゲツのベージュ×ブラウン2色のクロスと大建工業の壁材「ハピアウォール デザインタイプ」の組み合わせが素敵です。

「クロス貼りを見学して思ったのは、ぼくの仕事の収納などもそうですが、段取りの重要性。貼るまでの工程がとにかく沢山あって、段取り8割、貼りが2割という印象。職人さんが仰るには、段取りさえできればあとは早いんだそうです」。

食器棚の奥の壁は、引き出しを外して食器棚を移動させたり、トイレの壁は、吊り戸棚があるのでそれを取り外したり。その手順を踏んでからクロスを貼り、また家具などをきちんと復帰させるというご苦労が。

「その最終仕上げまでが職人さんの仕事なんですね。貼ったあとは本当にキレイだなと感心するわけですけど、仕事の範囲はかなり広いことを知りました」。

ベージュ×ブラウン2色のクロスが貼られた主寝室

外壁はメンテナンス性と質感のよさを追求!

内装と並行して外構工事も進行。外壁の仕上がりも見ることができました。「外壁は最初、左官仕上げもいいなと思ったのですが、クラックなどの経年劣化が心配で…。結局、耐久性が高く汚れがつきにくいなどメンテナンス性の良さからサイディングを検討しました」。ご夫妻は、外壁材メーカーのニチハに相談し、チャコールとホワイトのサイディングを選択。

製品は、2色ともフュージェシリーズのアコルドプレミアムというモノ。「四方合いじゃくり」という仕上がりを採用し、サイディングの弱みである継ぎ目(パネル同士の左右接合部)が目立ちづらいのが特徴です。「経年劣化で継ぎ目のシーリング目地が傷むことがない点が気に入り、ショールームで即決しました」とコジマジックさん。

外壁はチャコールとホワイトのサイディングを採用
袖壁に石材タイルを使用

さらに石材を貼った袖壁(門柱)も大注目。「外観に何かポイントが欲しかったんですね。さらに、家のどこかに石材タイルを使いたい気持ちもあり、いちばん目立つ場所に採用してもらいました」。

この石材タイルは天然石材の割肌が魅力の製品。ピースを集めたシート状になっているものをあえてバラバラにし、色味などがしっくりくるよう仕上げてもらったそうですよ!

2階と3階部分に走るスリット状の縦格子も目を引きます。「セキュリティを考えて、フラットで閉じ気味の外観ですが、袖壁とちょっと離れた場所にもうひとつポイントがあればいいなと思い、実現してもらいました」。素材は人工木の一種で対候性があり、メンテフリーなのが特徴です。

2階と3階部分に走るスリット状の縦格子

現場にほぼ毎日通い、工事の様子を見守ってきたコジマジックさん。「あと1か月も経たないうちに、いよいよ引き渡し。予定の工期よりもやや遅れたのですが、いざ工事が終盤に近づくとなんだか寂しくて、終わらないで(笑)なんて気持ちになっています。毎日本当に楽しく、職人さんたちに心からお礼を言いたい気持ちです」。

残りの外構工事などを経て、ゴールの引き渡しを迎えるコジマジック邸です。

収納王子コジマジックさん

【一般社団法人日本収納検定協会 代表理事 小島弘章】 片づけ・収納・住まいに関する確かな知識と実績を持つプロフェッショナルでありながら、松竹芸能で25 年の芸歴を積んだ、主婦層に圧倒的な支持を受ける男性ライフスタイル系タレントのパイオニア的存在。収納に“ 笑い”を取り入れたセミナーが話題となり、年間講演依頼数は200本以上、著書・監修本は累計40万部を超える。“収育”を理念として掲げた日本収納検定協会を設立し、お片づけを楽しむ検定「収納検定」をスタートさせる。そのほか収納グッズ開発やマンションの収納監修など、日本や中国を中心に幅広く活躍中。 八杉和興(扶桑社)、収納王子コジマジック=撮影  田中敦子=取材・文

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