リノベーションの際に人気なのが、壁や床にモザイクタイルを使用すること。東京・世田谷で大家をしているアサクラさんも、マンションの部屋をリノベするたびに玄関土間にモザイクタイルを貼っているそう。実際の施工事例をアサクラさんに見せてもらいながら「どんなタイルを貼る?」「施工にはいくらかかる?」「メリット&デメリットは?」という疑問に答えてもらいました。
玄関の印象を明るく変えられるのがメリット
玄関土間にモザイクタイルを貼るいちばんのメリットは、なんといっても見た目の明るさでしょう。うちのマンションでは、もともとはこんな感じのモルタルや、
すべての画像を見る(全19枚)「長尺シート」と呼ばれる防水シートが貼ってありました。
どちらも「いかにも築古マンション」といった感じのちょっと暗い雰囲気です。ここにタイルを貼ると印象がガラリと変わります。
選んだのは六角形の茶色のタイル。
玄関はドアを開けて最初に目に入るところですから、タイルで飾ってあげると第一印象が格段にアップします。
タイルのかたちや色を選ぶのも楽しい
モザイクタイルは種類が豊富なので、選ぶのも楽しいです。
これはグレーの六角形のタイルを貼った例。入居者さんのリクエストで選んだタイルですが、個体差が模様のように見えるのが面白いです。
茶色の目地と合わせたので、落ち着いた仕上がりになりました。
これは25ミリ角のブルーのタイルにダークグレーの目地を合わせた例。
ブルーとブラウンが混ざった独特の色合いが魅力です。同じ四角形でも大きめのサイズになると、印象も随分変わります。
グレーのタイルに白目地はオーソドックスな組み合わせですが、清潔感を感じさせます。
表面につぶつぶとした質感があるのも気に入りました。
事務所として使用している部屋では、三角形のタイルを2色ミックスで。
複数の色を組み合わせると柄にリズムが生まれます。
毎回リノベーションのたびに異なる種類のタイルを貼っていますが、どれも内見にいらっしゃった方々の反応は上々。賃貸のプチリフォームにもおすすめです。
予算を抑えたいならDIYがおすすめ
やっぱり気になるのは予算です。モザイクタイルのいちばんのデメリットが施工にかかる費用が高額だということ。業者さんに見積もりをお願いしてでてきた費用が、一式で「55,000円」でした。
小さな玄関土間にこの費用をかけるのはちょっと…とためらう金額です。
そこで、うちのマンションでは費用削減のためにDIYでタイルを貼ることにしています。自分で施工した場合の費用の一例を挙げましょう。
プロに頼んだ場合とくらべて4分の1~5分の1ほどで済みました。難易度も、垂直な壁や形の複雑な洗面などとくらべるとかなり低めで簡単。玄関土間はたいてい四角いので、タイルの収まりも考えやすく初心者も作業しやすいと思います。
三角形や六角形のタイルでも、半端なスキマを埋めるためのハーフタイルも用意されていることが多いので、タイルをカットしなくても対応は可能。さらに、キッチンや洗面とちがって、目を近づけて見ることがない場所なので、失敗が目立たないのもうれしいです。
これはセメント目地の水分が多すぎて、乾いた後にヒビが入ってしまった失敗ですが、足下なのでぜんぜん気になりません。
実際に使用してみて気づいたデメリットいろいろ
強度に不安あり?
まず、一般的にいわれるデメリットは、タイルが割れるかもしれないこと。施工会社によっては「靴で歩く土間にはモザイクタイルは貼れません」と言われるかもしれません。
実際に3~4年間暮らしてみた感じでは、この点はあまり心配ないと思います。モザイクタイルはかなり硬いので、ヒールでガツンと踏んだり、携帯電話を落としたくらいでは傷もつきません。実際、うちのマンションで土間のタイルが割れたという話を聞いたこともありません。
汚れが目立つ
むしろ、注意したいのは汚れでしょうか。タイル目地は白を選ぶことが多いですが、当然、汚れが目立ちやすくなります。タイル本体も白や明るめの色を選ぶと、ホコリや砂がどうしても目立ってしまいます。
タイルは汚れに強いので掃除すればまったく問題ありませんが、汚れが気になる方は色が濃いめのタイルと目地を合わせることをおすすめします。
濡れたときは滑りやすい
個人的にいちばんのデメリットは若干滑りやすくなってしまうことです。
表面がツルっとした光沢のあるタイルは、こんなふうに光があたると反射してきれいに見えるのですが、靴底の材質によっては濡れていると滑りやすくなります。雨の日には注意が必要ですね。
我が家の玄関は1m×1mにも満たないほどの広さなので、万が一のときは壁やドアに手をつくことができますが、広めの玄関では転倒する危険もあります。広さや家族構成にも配慮して選ぶといいと思います。
玄関の雰囲気が一変するモザイクタイル、検討する価値ありです。