結婚を機に新居探しを始めた藤井さん夫妻は、内装にコストをかけられる中古マンション×リノベーションを選択。京都を中心にリノベーションを手掛けるリボーンキューブの作風に魅せられ、物件選びの段階から相談をしました。そして購入したのは、京都府八幡市のエレベーターのない団地の最上階にある、約77㎡で550万円の物件。お菓子づくりや料理がしやすいキッチンにこだわり、工事費1150万円(設計料・施主支給品込)をかけて、タイルや塗装で彩鮮やかな空間をつくり上げました

ステンレス天板のキッチン
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目次:

撤去できないRC壁を大胆に塗装異国感あふれるレストラン風キッチン鮮やかな塗装やタイルで表情豊かに

撤去できないRC壁を大胆に塗装

ゆるく仕切ったリビングダイニング

ダイニングスペースには撤去できないRC壁があり、キッチンカウンターと作業台の通路幅にゆとりを持たせると、置けるダイニングテーブルが小さくなってしまうことが夫妻を悩ませました。

「実家のキッチンに仮想の壁を立てて、5㎝単位で試してみて、最終的に決めたのが幅75㎝でした」と夫。

頭を悩ませたRC壁は紺色に塗装して、ダイニングキッチンとリビングをゾーニング。
リビングの広さは11畳ほどですが、明確に区分けすることで、大きめのソファを置くゆとりが生まれました。

リビングの一角のワークスペース

リビングにもともとあった和室と押し入れのスペースは、ウォークインクロゼットと書斎スペースに活用。
リビングと書斎は腰壁で軽く仕切る程度にとどめています。

リビングにあるWIC

リビングにある引き戸の中が、タイルカーペットの床とカラシ色に塗装した壁で明るく仕上げたウォークインクロゼット。
ハンガーパイプを少し低めにして、枕棚の広さを確保しています。

LDKの床は素足のときに肌触りが気持ちいいカリン無垢フローリング。ヘリンボーン張りで個性的な雰囲気を際立たせました。
リビングの壁も紺色に塗装していて、異国ムードが漂います。

建具には、カリンの床材と調和し、かつコストも抑えられるシナ合板を採用しました。

異国感あふれるレストラン風キッチン

キッチン

キッチンはステンレスと決めていたそうですが、造作は費用がかかることもあり、デザインが美しいサンワカンパニーの「グラッド」をチョイス。

壁は外国風のイメージで、カラフルなランプ型のモザイクタイルをふんだんに貼りました。

お菓子作りをする妻は、「生地をこねたりするのに必要ですし、普段は料理や食事後のお皿を置く場所としても重宝しますから」と、広い作業台を希望。
また、キッチンのスペースを熟考してコンパクトに抑えたことで、幅150㎝のダイニングテーブルも置くことができるようになりました。

夫妻の希望が叶ったダイニングキッチンは、カジュアルなレストランのような雰囲気の仕上がりに。

タイルや塗装でアクセント

飲食店の厨房のような雰囲気に加え、コストやデザイン性を両立させた自慢キッチンをランプ型モザイクタイルが彩ります。
アクセントクロスを貼ったパントリーは、幅広で収納力も十分。

ロールスクリーンで目隠しができるように工夫しました。

鮮やかな塗装やタイルで表情豊かに

タイル貼りの玄関

モザイクタイルを敷き詰めた玄関ホールへ入ると、正面にはガラスの引き戸が。
目通しを確保するとともに、クリアガラスとチェッカーガラスを交互に入れて、インテリア性も高めています。

また、将来は子ども室として使う予定のフリースペースは、水色の壁とナラ無垢フローリングで、北欧風の明るい雰囲気に仕上げました。

グリーンの寝室

寝室は壁一面を深緑に塗装して、オリエンタルな雰囲気もありながら落ち着きある雰囲気に。

紺の塗装でLDKとリンク

以前のトイレは、洗面室から回り込む形でしたが、玄関側に出入口を付け替え、壁の一面に紺色の塗装を施しました。
また、在庫限りで安売りしていたドラム式洗濯機の扉の向きに合わせて、洗面室は洗面台と洗濯パンの位置を入れ替えています。

いろいろとこだわるうちに、住宅ローン予定額を200万円近くオーバーしたそうですが、床材やシステムキッチンなどを施主支給とし、別途リフォームローンを組むことで、大きな妥協をせずに機能的で心地いい住まいを実現できました。

設計・施工 リボーンキューブ
撮影 山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.16」取材時のものです。