夫の赴任先の賃貸住宅で暮らしていたSさん家族。そろそろ元住んでいた京都市内へ戻ろうと思ったのが、住み替えのきっかけだったといいます。長男は小学校入学、次男は幼稚園入園をそれぞれ控え、長女も小学校低学年で転校の負担が少ないことも決断を後押し。子どもたちも成長して、住んでいた賃貸が手狭にもなっていました。京都市内で希望に合う100㎡前後の賃貸となると、家賃は20万円以上が当たり前です。それならば買うほうがいい、と夫妻は判断。新築は価格が高騰しているため、中古マンションを買ってリノベーションを行うことにしました。
壁付けキッチンにしてゆとりを生む
リノベの設計・施工はネットで探したリボーンキューブに依頼。「物件探しから手伝っていただけるという安心感も決め手になりました」(妻)。
そのリボーンキューブからのアドバイスも受け、平成4年築、専有面積102.72㎡の中古マンションを2600万円で購入。角部屋でバルコニー側の景色が開けていて、静かなのに駅近という物件です。リノベの工事費は1,200万円(税・設計料込み)でした。
子ども室用の部屋を確保するため既存の間取りである3SLDKは変えずに「まずLDKをできるだけ広く使えるようにしたいとお願いしました」(妻)。
そのため対面式だったキッチンを、省スペースとなる壁付けに変更。壁付けならば、家族が料理の手伝いをするときもゆったりと作業ができます。
キッチンは使い勝手のよいL字型を選択。併設のキャビネットは冷蔵庫を収めながら、パイプスペースを隠す役割も果たしています。キッチンにはガスオーブンをビルトインしていますが、スペースをコンパクトにおさえられる業務用を採用しました。
壁にはIKEAのステンレスレールやマグネットバーなどを取り付け、さらに使い勝手のよいキッチンに。
空間の効果的な利用によって、幅2mの大きめサイズのダイニングテーブルを置くスペースができました。背後のカウンターは、以前から使っている食器棚とぴったり合うように造作したものです。
キッチンを壁付けにしたことで、家族みんなでゆったりと過ごせる開放的なLDKになりました。
BUILDINGのモジュールソファは大きめですが、十分なゆとりがありますね。床には、家具や建具の雰囲気とも合うオーク無垢材を採用しています。
多機能でインテリア性も高い!ブックシェルフ&デスク
リノベ前の和室とキッチン、リビングの入り口を見たところ
リノベ前はリビングの入り口にドアが付いていました。
リノベではドアを撤去し、和室のリビング側にブックシェルフ&デスクを巡らせることで、廊下とLDKの空間が馴染むように演出しています。
収納にもこだわった夫妻。ブックシェルフ&デスクはお気に入りのひとつです。蔵書が多く「造り付けの大きな本棚が欲しかったんです」(妻)。
インテリア性も高いため、生活空間にとけ込んで見えますね。
家族の衣類収納を一手に引き受けているのが、もともとあった個室を利用した大容量のウォークインクロゼットです。このおかげで和室にあった押入れが撤去でき、和室を少しコンパクトにすることでLDKの面積を広げることもできました。
現在はこの和室を家族5人の寝室として使っています。
ウォークインクロゼットと和室は扉なしでつなげ、布団の上げ下げをスムーズにしました。また、和室には3つの出入り口があり、普段は開け放しておくことで風を通せるようにもなっています。
将来の暮らしをイメージしたプラン
玄関はスペースを増やす余裕がなかったため、下駄箱をオープン棚にすることで広さを演出。建具はすべてシナ材で造作したものです。雰囲気に統一感がありますね。
玄関側の洋室2室はクロゼットをなくし、将来の子ども室用空間としました。今は広いほうの1室をプレイルームにしています。
左がリノベ後、右がリノベ前の洗面室
壁に大型ミラーを取り付け、洗面台は造作しました。TOTOの実験用シンクに、グローエのシングルレバー引き出し混合栓を組み合わせています。
幅広のカウンターは、いずれ子どもたちの身支度時間が重なるようになっても安心ですね。
トイレは位置を変えていませんが、機器・内装ともに一新しました。真鍮製ペーパーホルダーがアクセントになっています。プランは妻に任せていたという夫。「視界を遮るものがないリビングは特に気に入っています」と夫妻ともに満足そうでした。
設計・施工/リボーンキューブ
撮影/飯貝拓司
※情報は「リライフプラスvol.29」取材時のものです