独特な間取りや個性的なディテールなどが気に入り、都内のデザイナーズ賃貸に住んでいたHさん夫妻。ただ、広さにはゆとりがなかったため、長男の誕生を機に同じようなデザイナーズ賃貸を探してみたそう。でも、いいなと思う物件は、なかなか空きが出ない状態…。それならば中古マンションを購入して、より自分たち好みの空間にリノベーションしてはどうかと考えました。新耐震基準で建てられた通勤圏内のマンションを探し、埼玉県で平成7年築、専有面積62.93㎡の物件を購入しました。
料理中も家族とのコミュニケーションがとりやすい!
物件はnu(エヌ・ユー)リノベーションから紹介を受けたもので、リノベの設計・施工も同社に依頼しました。
物件探しからワンストップで依頼できる会社を探す中で、施工事例や担当者の人柄など、いちばんしっくりきたのがnuリノベーションだったといいます。工事費は1200万円(税・設計料別)でした。
天井を躯体コンクリート現しにすることで、きれいすぎない“ざっくり感”を出したキッチン&ダイニング。キッチンで特にこだわったのは壁のタイルです。凹凸のあるマットな質感のタイルに、淡い色の目地でやさしい印象に仕上げました。
キッチンはコンロを壁付け、シンクを対面カウンターに置いたⅡ型。デザイン性と機能性を考えて選んだものです。ベイ松で造作したキッチンカウンターは使い勝手も抜群!
キッチンからはLDを見渡せ、家族とのコミュニケーションもしやすいつくりです。
リノベ前のダイニングからキッチンを見たところ
もともとキッチンは奥まった位置にあって暗く、閉鎖的なつくりでした。
リノベ前にあった和室とLD
明るくオープンなキッチンにするため、ベランダ側にあった和室とLDをつなげ、和室だった場所にキッチンを大移動。
元のキッチンスペースもリビングとつなげたことで、LDKは広々とした空間にできました。
「オープンなワンルームのスペースに、いろいろな居場所がある家にしたかった」という夫妻の希望を叶えています。
広くなったリビングの壁面にはプロジェクターで投影して、映画などを楽しんでいるそう。
実は便利!廊下に設けた魅せる洗面台
いずれ子ども室が必要になったときは、リビングの一角に部屋をつくる予定。また、子どもが増えた場合は、寝室を2つに分けられるように工夫しています。将来の対策もバッチリですね。
写真左手前は、浴室・脱衣室のドアです。
洗面台は設けていないので、バスルームの前室を脱衣・洗濯スペースとしてゆったりと使えます。「洗面室と脱衣室を分けて本当によかった」と妻。さて、洗面台はどこにあるのでしょうか。
洗面台はこちら! 廊下にあるのです。担当デザイナーからの提案でしたが、当初は不安もあったそう。しかし実際に使ってみると「湿気がこもらず見た目もオシャレ。動線も理にかなっていて使いやすい」と夫妻。
実験用シンクやレトロ感のある2ハンドルの水栓、廊下のマリンランプもステキですね。
H邸の天井はほとんどが躯体表しで、床はオーク無垢フローリング、壁には白い塗装を施しています。
でも、トイレだけはグレーのクロスで雰囲気を変えました。アンティーク調のトグルスイッチも空間にマッチしています。
玄関土間はデザインと使い勝手にこだわりアリ!
玄関土間ではコンクリートブロックと、型ガラスを使ったレトロな雰囲気の室内窓が目を引きます。「CMで見て一目ぼれした」というコーナーを忠実に再現した、こだわりの空間です。
CMを再現したコーナーの対面は、個室だったスペースの一部を利用して広げた土間。妻の要望で、ベビーカーをたたまずに収納できる空間としました。
奥にはオープン棚と姿見を設置。靴だけでなく、コート、スーツケースなども収納しています。家族で過ごすのは、やはりLDが中心。とくに、リビングの壁に投影した映画を見る時間を気に入っているそうです。
設計・施工/nu(エヌ・ユー)リノベーション 撮影/飯貝拓司 ※情報は「リライフプラスvol.29」取材時のものです