●歩くだけでは筋肉量は増えにくい。おすすめは階段を使う運動

階段に女性
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――このままいくと、普段の生活をしているだけでも筋肉量が減り、体は太っていき、そしてさまざまな健康問題を引き起こしていく。恐ろしい現実が見えてきましたが、日常生活の中で行う「ながら運動」で、運動不足は解消させることはできないのでしょうか?

中野さん

:運動で筋肉量を増やそうと思ったら、掃除中に足上げなどを加える「ながら運動」ではちょっと難しいです。普段の生活の中で行うことでなにかということでしたら、階段の上りをがんばってみると、筋肉量を増やすことができますよ。

筋肉量を増やすには、強い刺激と過負荷が必要です。階段の上りの動作は、片足に体重が乗って負荷がかるので、思った以上に運動効果があります。大体4階分くらいまで上って欲しいのですが、目安として、都営地下鉄の地上からの深さが大体4~5階と言われています。もし地下鉄などに乗る際は、エスカレーターではなく階段を積極的に使ってみてください。

――上りの動作に負荷がかかるということですが、下りはどうですか?

中野さん

:筋肉を増やすのであれば、上りの方が足への負担はかかります。でも、キツイ方は下りから始めるでもよいでしょう。少しずつチャレンジし、まずは体を動かす習慣の定着を目指してください。

――習慣化って、やっぱり難しく感じて途中で挫折してしまう方もいると思います。よくダイエットを続けるには、まず体重計に乗りましょうといった話も耳にしますが、なにかコツや、注意点などはあるのでしょうか?

中野さん

:もしダイエットを目的として運動を続けようと考えるなら、毎日体重計に乗ることはおすすめしません。人の体は運動した翌日に体重が減るという仕組みではありませんし、筋肉量が増えた場合、体重自体は増えます。数字でやる気がそがれるのであれば、計測は3日~1週間に1回程度にして、定期的に観察していくのがよいでしょう。
また体重を測ることで摂取カロリーをコントロールする方であれば、毎日同じ時間に体重に乗るのはよいかもしれません。数字に左右されるのではなく、自分の取り組むことにいちばん適切な計測方法を取り入れていただきたいです。

マスクをつけて運動する様子

――体重を毎日測るのは、場合によってはよくないということですが、では運動を習慣化させることに特化させた場合、どんな取り組み方をすれば、挫折せずに続けていくことができるでしょうか。

中野さん

:運動に限らず、物事を習慣化させるには、最低でも2週間は続けることが大事です。歯をみがくといった日常動作と同じように、運動をしないと気持ち悪いといった感覚になることを目指しましょう。それを目指す上で、より快適に継続するためには、まずだれかと一緒にやるのがおすすめです。家族やパートナー、お一人の方はSNSでのダイエット仲間を見つけるのもよいでしょう。
周りと一緒にやった方が運動の継続率はよいのですが、同時に比べたりしすぎず、自分がいちばん楽しいと思えるスポーツを見つけることを意識してください。運動は本来楽しくなければ続きません。有酸素運動1つとっても、ランニングや水中ウォーキング、テニスなどいろんな種目があります。楽しければ周りと比べてどうとか考えるすき間もありませんし、自然と運動も習慣化されていくと思いますよ。

――運動不足による健康問題は、すでに私たちの体を少しずつ変化させているのかもしれません。まずはできることから体を動かす習慣をつけていくのがいいでしょう。