●70代の母が片づけられるようになるまで

ここからは、mocaさんのお母さんにお話を伺いました。

リビングにソファ
今ではこんなにすっきり
すべての画像を見る(全8枚) ――まず伯母さんの家の片づけをしてみて、いかがでしたか?

「本当に大変でした! 不要そうなものでも『それは施設に持っていく』と言うから『部屋が小さくなるから、こんなに大きいのは持っていけない』と説得し、どれか1つに決めさせたりして。クローゼットにも洋服がたくさんつまっていたし、マンションを売るための権利書を探そうとしたら、書類入れだけで100個くらい。
毎日必死で片づけて、家を売るまでに2か月かかりました。そのときに『私が死んだとき、こんな大変なことを子どもたちにやらせるわけにはいかない』と思ったんです。今のうちに、ある程度のものは片づけておいたほうがいいなと。

――とても大変だったんですね。“自宅はものが多い”と気づくきっかけになったのでしょうか?

「今のマンションに引っ越すとき、娘たちが巣立つ前に住んでいた5LDKの広い家にあった家具や荷物を処分するという選択肢がなく、丸ごと持っていきました。私の姉はいつも『あなたの家は、ものが多すぎる』と言っていましたが、当時はまったく自覚がなく“すべて使っているから”という認識でした。まだ使えるものを捨てることに抵抗がありましたから」

――mocaさんの著書を読んで、どんな感想をもちましたか?

「来客があるときにしか使わない2人がけの長イスが目について『本当に必要?』と自問自答してみたんです。『私ほとんど座らないから、いらない』とついに捨てる決心がつきました。その長イスを捨てたら、『このコーヒーテーブルもいらないわ』って、大きな家具をどんどん捨てることが快感になって……」

――ずいぶん思いきりましたね! ほかにはどんなものを処分しましたか?
緑のソファ
捨てたソファ

「タンスや布団、大皿やすき焼き鍋、電気コンロ。たくさん捨てました。来客が来たら布団はレンタルすることもできるし、もしまた必要なら買えばいいと思って。なかでも快感だったのは、段になっているプラスチックの大きな収納ケース。7~8個くらいありました。孫が赤ちゃんだった頃のオモチャとか食器とか、徐々に中身を減らしたらどんどんケースがあいてきたので、ケースも捨てちゃおうと。あと今日見つけたのは、ずっと使ってない小型のアイロン。こういうのがまだまだあるんですよ」

――片づけは、現在進行形で続いているんですね。暮らしやすくなったという実感はありますか?
浴室
リフォームした浴室

「ものを減らして部屋が広くなると、ホコリ1つでも目につきます。コードレスの掃除機に買い換えて、掃除機をかけるのも楽しくなりました! あと、ずっと気になっていたお風呂場のリフォームもしたんです。タイルが剥がれてきたり、ドアも調子が悪くなって、いやだなと思いながらも、親しい人以外には見られない場所だしいいかと妥協していました。そんなタイミングで洗面所から水漏れがして、金額的にも直すより、この際リフォームしちゃえ! と」

――ここまで片づけられたのは、一体なぜだと思いますか?
ぐ~スタンプがあるライン画面

「娘たちの応援です。『今日○○捨てたよ』とLINEすると、『すごい!』って毎回リスペクトしてくれるのが嬉しかった。『ママがんばって』と言われると『よし、今日もがんばる!』と前向きになれる。いつも励ましてくれる仲間、というのがいちばん大事だったと思います。娘からも『ちょうど私も衣替えしたいから片づけする』ってLINEが来たり、『お互いがんばってるね!』とほめ合う。だれもなにも言ってくれなかったら続けることは難しかったと思います」