●肯定する

二つ目の「親にされてうれしかったこと」は「なんでも肯定してくれた」ということでした。どんな無謀に思えるような挑戦でも、まずは否定せず、なんでも受け止めてくれたというのです。

この話を聞かせてくれた東大生の方は、まったく東大合格者がいないような、いわゆる無名校に在籍されていました。また、そのなかでも成績がトップであるというわけでもなく、むしろ成績的には下位層にいたといいます。だからこそ、周囲の人たちに「僕は東大に行きたい」と言っても、笑われてしまいました。

しかし、この方のご両親だけは「東大に行きたい」という思いを笑わず、否定しないで聞いてくれたというのです。

これは僕にも経験があります。僕も元々は無名校に在籍していました。また、世帯年収が300万円台と貧困家庭に暮らしていたので、塾にも行くことができず、東大進学はほぼ絶望的だと思われていました。

また、僕が高校三年生の時に母親が乳がんになり、父親が事業独立するなど、かなり大変な時期にあったというのに、僕のかなり無謀にも思える東大受験について、まったく反対されませんでした。

僕自身「東大なんて無理かもしれない」と自分を信じきれずにいたのですが、「自分で行きたいと思った道なら行きなさい。東大でもきっと大丈夫」と背中を押してくれたことは、今でも非常に記憶に残っています。

そう考えると、東大生で、実の親から「お前に東大は無理だ」と言われながら受験して合格した人は、少なくとも僕は見たことがありません。まずは、いちばん身近な人から肯定されることが、夢をかなえるための第一歩なのだろうと思います。

●信用する

最後の「親にされてうれしかったこと」は「子どもを信用する」です。これは僕自身の経験も強く入るのですが、ほかの東大生たちから話を聞いても、「自分は親から信用されていた」という方が非常に多いのです。

たとえば、「勉強しなさい!」という言葉をかけられながら東大に合格した学生を、僕は見たことがありません。「どうせ東大に合格するような子だから、ずっと家でも勉強してたんでしょ?」と思われるかもしれませんが、じつはそうでもないのです。

僕自身も「家でまったく勉強しなかった学生」の一人です。僕は自宅を「遊んでリラックスするための場所」と決めていたので、自宅に帰ったら、本当に一秒たりとも勉強することはありませんでした。

もちろん、学校でしっかり勉強してから帰宅するのですが、そうはいっても僕の親には僕が学校で勉強している姿は見えないわけです。なので、僕は両親からしてみれば「まったく勉強しない不良受験生」でした。

しかし、僕がどれだけ家で遊びほうけていても、絶対に「勉強しろ」とは言われませんでした。このおかげで、僕は自宅で休養することに集中でき、結果的に学校での自主学習の効率も上がりました。「勉強しろ!」と注意されなかったからこそ、成績が上昇したのだと僕は強く確信しています。

ここに挙げた3つのことをすべてしていれば、きっと僕も一浪せずに大学合格までがんばれたかも! と思わされます。皆様の参考になれば幸いです。

布施川さんの著書『

東大式節約勉強法

』(扶桑社刊)は、自身の体験をもとに、目標達成のための最短ルート、最小コストの具体的な方法が満載の一冊。こちらもぜひチェックしてみてください。

【布施川天馬さん】

1997年生まれ。オリジナルの「お金も時間も節約する勉強法」を編み出し、一浪の末、東大合格を果たす。現在は、自身の勉強法やその学習方法を全国に広めるための「リアルドラゴン桜プロジェクト」を推進。また、全国の子供たちを対象として無料で勉強を教えているYouTubeチャンネル「スマホ学園」にて授業を行うなど、精力的に活動している。