自宅で犬を飼う場合、ケガをしないよう、床材や階段の傾斜など配慮が必要です。また、老犬になったときのことを考えておくことも大事。 愛犬が末永く、気持ちよく暮らせるようにするには、どんな備えをすればよいのでしょうか。新築時やリフォームの際にありがちな疑問について解説します。答えてくれたのは、建築家の横関和也さん。自身もラブラドール・レトリバーを飼ったことや、里親制度を利用してビーグルを家族の一員に迎えた経験があるそうです。
すべての画像を見る(全6枚)Q. 老犬と長く快適に暮らすための工夫は?
A. おもらしに備え、犬の部屋は掃除がしやすい防水仕様に
人間と同様に犬も年を取れば体の機能が衰えてきます。老犬への対応は人間の高齢者に置き替えてみるとわかりやすいかもしれません。たとえば、階段の勾配(こうばい)をゆるくする、段差をなくすといったことです。
年をとると散歩に行けなくなります。室内で排泄(はいせつ)したり、ときには歩きながら漏らしたりすることも。
大型犬の場合、飼い主の負担はさらに大きなものになります。そんな状態に備えて、内部を防水仕様にした犬の部屋を設けるなどの工夫も必要です。
Q. 階段を怖がる犬にもやさしい階段って?
A. 傾斜がゆるく、広い踊り場のある階段に。スケルトン階段は避けましょう
犬が階段を怖がるのは高い場所での移動が苦手だから。階段を設けるなら直線階段は避け、途中に広い踊り場のある階段がおすすめです。また、傾斜をゆるやかにすれば上りやすくなるでしょう。
階段の段差部分が素通しのスケルトン階段は、犬が怖がるので不向きです。ダックスフントなどの胴長短足の犬種は、腰に負担がかかるうえ、15㎝の段差でも危険がともなうケースもあります。階段を上らせないよう、柵でガードしましょう。
Q. 犬にも家族にも心地よいフローリングはある?
A. 樹種と塗装の工夫で使用可能なものもあります
犬用フローリングに必要な要素は「滑りにくい」「傷がつきにくい」「掃除がしやすい」の3点。新建材なら豊富にそろいますが、デザイン性の高い無垢フローリングを求める人も多いです。
私の事務所で試行錯誤した結果、現在使うことにしているのは、材質は硬いチークかナラ。傷や汚れに対しては紫外線を当てて乾燥させると固い塗膜ができる天然塗料を、滑りに対してはゴムのようなグリップ力が出る天然成分のワックスを使っています。