今年は家でゆっくり楽しみたいクリスマス。クリスマスの本家・北欧の過ごし方が参考になりそうです。

スウェーデン企業にて約10年間広報として勤務し、公私ともにスウェーデンに深く関わる座間温子さんに、スウェーデン式クリスマスの楽しみ方を語ってもらいました。

食卓にろうそくなど
北欧式に過ごすクリスマス(写真:座間温子)
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おうちでほっこりクリスマス。北欧風の楽しみ方を参考に

スウェーデン人はクリスマスが大好きです。スウェーデンのクリスマスは、12月に入った途端に始まります。

●スウェーデンのクリスマスに欠かせないグロッグ

キャンドルとチョコレートとマグカップ
(写真:座間温子)

アドベントキャンドルを燃やしながら、ナッツとレーズンがたくさん入ったお酒・グロッグを飲み、手づくりのジンジャークッキーやキャラメル、チョコレートなどが日々テーブルに並びます。
チョコレートはALADDINというスーパーでもよく手に入る箱に入ったアソートチョコレートが人気です。

このグロッグがとても私は好きで、12月になると「クリスマスシーズンだから」を口実にしょっちゅう飲んでしまいます。ドイツ製などのすでに味がついているものが市販でも売られているのをよく見かけますが、私はよく手づくりします。

スウェーデン人は赤ワインとウオッカを割ってつくるのですが、日本人の私にはちょっとアルコールが強すぎるので、赤ワインをメインにオレンジジュースをたします。そこへ、三温糖、クローブ、シナモン、カルダモンを粒で入れ、沸騰しないように煮ていきます。湯気が立ってきて温まってきたら、砕いたアーモンドとレーズンをカップに入れ、そこへグロッグを注ぎます。

温かなワインが染み込んだアーモンドとレーズンをスプーンですくいながら食べつつ甘いワインを飲むのは至福のとき。なんとこれ、ディナーの前に飲んでしまいます。ディナーを食べる頃にはおなかもいっぱい…となりそうですが、それでも食べたいクリスマスディナーが用意されています。

●ディナーはビュッフェ形式が一般的

お皿にエビの料理
(写真:座間温子)

クリスマスディナーには伝統的なビュッフェ形式で食事を楽しみます。サーモン、ニシンの酢漬け、ミートボール、ヤンソン氏の誘惑(アンチョビポテトグラタン)、シュリンプエッグ、ビーツのサラダ、クリスマスハムなどを食べるのが一般的。

日本だとチキンを食べる人が多いかと思いますが、北欧では豚のお尻をグリルしたハムがメインになります。エビがたくさん登場するのは、いかにもスウェーデンらしいところです。

日本で北欧風にするなら、欠かせないのはハーブのディルです。普段からディルを見かけるたびに買いますが、クリスマスシーズンには欠かせないので、スーパーで見つからないときはデパ地下に行ってまでもディルを買います。

ニシンの酢漬けは、輸入食材のお店などでもすぐに買うことができます。これにディルをスプリンクルして食べてもよし、私はクネッケと呼ばれるクリスプブレッドに乗せて食べるのも好きです。

●スウェーデン人は魚卵をよく食べる

シュリンプエッグはいろいろなレシピがありますが、私は自分流アレンジしています。マヨネーズにサワークリームを混ぜて、タラコとディルを混ぜます。それを半分に切ったゆで卵の上に乗せ、エビを載せます。トッピングにとびっこを置いてもいいですね。

スウェーデン人は魚卵をよく食べます。そこは日本人と似ていますね。スウェーデンでは、歯みがき粉のチューブのような容器に入ったたらこマヨネーズ「カッレ」がポピュラーです。ただゆでた卵にそれだけを塗って食べる人もいますが、クリスマスなので一手間、ふた手間かけたいものです。北欧を代表するハーブであるディルをのせると、一気により北欧らしくなります。

グラタン
ヤンソン氏の誘惑という名前のグラタン(写真:座間温子)

ヤンソン氏の誘惑は有名なアンチョビポテトグラタンです。各家庭によってレシピは違うのですが、私は生クリームと牛乳も使って少しあっさりめに仕上げます。具はジャガイモとアンチョビに加え、私はそこへ長ネギを入れます。昔、冷蔵庫にあった長ネギを入れてみたらスウェーデン人たちにとても好評だったので、それ以来私のレシピには長ネギが入ります。

ミートボールも私はビーフを多めに使います。ポークの割合が多い方が好きという人もいますが、そこは個人の好みですね。クリームソースにリンゴンベリーのジャムを添えます。
甘すぎないさっぱりした味が特徴のリンゴンベリーのジャムはスウェーデンより定期的に取り寄せており、私のお気に入りはリンゴンベリーの実が残っているくらいのジャムです。もし日本でもイケアで購入することができますが、もしない場合はクランベリーやラズベリーのジャムなどでも試してみてくださいね。

●「ルシアの猫」という名のサフランパン

並べられているキャンドル

スウェーデンでは、12月に入るとアドベントキャンドルといって、4本のキャンドルスタンドにろうそくを立て、1週間ごとに1本ずつ灯をともしていきます。第1週目は1本、第2週目は2本というように。

また、ジンジャーブレッドハウスをつくったり、クッキーオーナメントをツリーに飾ったりする場合もあります。

ジンジャーブレッドハウスとルッセカット
ジンジャーブレッドハウスとルッセカット(写真:ルミコハーモニー)

北欧のなかでも、スウェーデンならではと言えば、このLussekatt(ルッセカット)「ルシアの猫」という名のサフランパンです。1年で一番暗い時期にあたる12月13日に、光の聖人「ルシア」を祝う祭があり、聖ルシアがこのパンを配ります。12月のスウェーデンのFIKA(フィーカ/コーヒータイム)は、このルッセカットと一緒に楽しむのも風物詩です。

●玄関をクリスマス風にデコレーション

クリスマスデコレーション
(写真:座間温子)

私はクリスマスシーズンになると玄関をクリスマスムードのデコレーションします。キャンドルをたくさん置いて、ホワイトクリスマスムードのスノードームをおきます。

●幸せを運ぶ馬、ダーラナホース

ダーラナホース
在東京スウェーデン大使館にあるダーラナホース(写真:ルミコハーモニー)

そこにダーラナホースも忘れずにおきます。シルバーやホワイトカラーで統一し、洗練されたムードのクリスマスデコレーションにしたいものですが、ついベタにホリデーシーズンをお祝いしたくなってしまいます。
スウェーデンのデコレーションはもっとウッドでできたオーナメントや飾りがあったり、赤がスパイスカラーとなっていたり、より温かみのあるほっこりした雰囲気が多いと思います。

ダーラナホースは、スウェーデン・ダーラナ地方発祥の伝統工芸品の木彫りの馬で、幸せを運ぶ馬として昔から愛されてきました。
代表的なのはこの赤色のデザインですが、ほかにもさまざまなデザインがあり、自分でペイントするのもいいですね。こちらもイケアで販売しているのを見かけたことがあります。

クリスマスツリーに飾り
(写真:座間温子)

クリスマスツリーは色合いを決めてシンプルにしています。オーナメントはおもに北欧系のショップで購入した手づくりのオーナメントにイケアのオーナメントも混ぜています。夫が北欧好きアメリカ人なので、インテリア用品は好んで探してきてくれます。

オシャレなスウェーデン流クリスマス、皆さんもぜひエッセンスを取り入れてみてください。