「赤ちゃんって、どうやってできるの?」「赤ちゃんはどこからくるの?」。ほとんどの子どもたちが親に尋ねるといわれるこの質問。あなたはどのように答えますか?
ここでは、性教育アドバイザーであるのじまなみさんの著書、『
』(辰巳出版刊)から、子どもに伝えたい性教育についてご紹介します。
すべての画像を見る(全6枚)性に関する子どもの疑問。母親としてどう答えるべき?
もし「赤ちゃんって、どうやってできるの?」「赤ちゃんはどこからくるの?」と子どもに聞かれたら、子育てがうまくいっている証拠であり、喜ぶべきことだとのじまさんは言います。
では、命のスタートに興味を持った子どもにどんな風に答えてあげればいいのでしょうか。
●性にまつわる素朴な質問にはまず、「魔法の言葉」をかけましょう!
なにも覚悟をしていないときにふいに子どもから「赤ちゃんって、どうやってできるの?」と質問されたら、ドキッとするものです。そんなときに「そんなこと知らなくてもいいの!」などと突っぱねたり、否定したりする回答はNG。
さらに黙ったり、その質問から逃げたりするような態度も、親子の間で「性の話はタブー」という大きな溝をつくってしまいかねないそう。
子どもから性にまつわる質問をされたらまずは、「『いい質問だね!』と答えてあげましょう」とのじまさんはいいます。
その理由は、3つ。「お母さんのドキッとした表情を隠せる」、「子どもに受け入れてもらったと感じてもらう」、「なんでそう思ったか、そこにフォーカスできる」だそうです。
「『いい質問だね。なんで知りたいと思ったの?』と子どもに逆質問することでその裏側にある理由に初めてアプローチができます。『なんで』がわかれば、子どもの求めていることに答えることができます。そのときに質問に答えられない場合は『調べておくね』と話し、あとできちんと答えてあげましょう」
●「赤ちゃんって、どうやってできるの?」に対する、のじま流模範解答とは?
好奇心旺盛な子どもはさまざまな質問を親にぶつけてきます。しかし、それも成長の証ととらえ、ひとつずつきちんと答えてあげたいものです。
では、冒頭の「赤ちゃんって、どうやってできるの?」という質問に対してのじまさんはどのように答えているのでしょうか?
「この質問には、『どうやってできると思う?』とぜひ聞き返してください」とのじまさんはいいます。まずは、子どもの想像力豊かな回答を楽しんでくださいとも。そして、「男の人のおちんちんが女の人の膣に入ってできるんだよ。男の人のおちんちんの精子と女の人の中にある卵子とくっついて赤ちゃんができるの」とぼかさず、しっかり説明することが大事だそうです。
●性犯罪者の被害者にも加害者にもならないための「水着ゾーン」の必要性
性教育を進めるなかで「体にはプラベートな大切な場所がある」ということを子どもに伝えることが大事です。
私たちの体には人に見せても、触らせてもいけない自分だけの大切な場所があります。そのことを子どもに理解してもらうことはとても大切なこと。のじまさんは、この「大切な場所」のことを「水着ゾーン」という表現を使っています。
「水着を着たときに隠れている場所(胸・性器・おしり)と口は決して他人に見せたり触らせたりしてはいけないということを、この水着ゾーンを使って教えましょう」
また、友だちの水着ゾーンに自分も触れてはいけないことを理解させる必要があるといいます。このことをどの子も理解をしていれば、将来的に性犯罪の抑制につながるのではないでしょうか。
●お母さんが3歳から10歳の間に性教育をするということ
日本はこれまで、学校や家庭で性についての正しい教育を積極的に行ってきたとは言えないのではないでしょうか。よって、子どもから性に関する素朴な質問を向けられると、親である私たちも戸惑ってしまいます。
しかし、ネット社会が当たり前になっている今、早急に正しい性教育を子どもたちにうながさなければ、間違った情報を鵜呑みにしてしまう危険が生じます。学校側の対応を待っているうちにお子さんはあっという間に成長し、セクシャルな場面に遭うことも。
これまでの学校教育は「男女の体のしくみの違い」「妊娠と出産」など、おおまかな性教育は行ってきました。
とはいえ、「セックスとはなんなのか」、「性犯罪や性感染症から身を守る方法」など、子どもたちが本当は知っておくべき具体的な内容についてはタブー視し、触れないという方針をとっています。その結果、子どもたちはそれぞれが勝手に情報を得て、性について間違った考え方を持つということに……。
「私は性の話も親の愛情も素直に受け入れる年齢である3歳から10歳までに行うべきだと考えています。この年齢こそが性教育の適齢期に当てはまるので、この時期にお母さんからたくさんお子さんに声掛けしてみましょう」
トイレやお風呂など折に触れて伝えることで子どもたちは少しずつ関心を持って聞くようになり、性の話を自然に受け入れるようになるとのじまさんはいいます。
●性教育はメリットしかない!
「とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会」の代表理事を務めるのじまさんは、これまで7000人以上ものお母さんと出会い、さまざまな悩みを共有してきたそうです。
多くの悩みと接するなかである共通点に気がついたのじまさん。それは悩みが“ほぼ同じ”ということ。そして「性」にまつわる相談事は家族や周りの人にできず、一人で悩んでいるお母さんが多いと感じているそうです。
「お母さんたちに今必要なのは、正しい性教育のスキルとそれを実行する行動力です。命の大切さを知っている子は自分を大切にします。愛を教えてもらった子は他人にやさしくできます」
のじまなみさん著『
お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版刊)では、性教育の大切さについてより深く知ることができます。
「もっと早くにこの本に出合いたかった!」と思うお母さんもいるかと思います。
しかし、今からでも遅くはありません。この本をきっかけにお子さんと性について話してみませんか? 皆の意識が変われば、性教育後進国・日本の未来が変わるかもしれません。