出張の費用を、社員が立て替え、あとで精算するシステムという会社は多いもの。「家計と、夫の出張の費用がごちゃごちゃになってしまい、結局赤字になってしまう」というお悩みを抱えるESSE読者の家計を、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに診断していただきました。出張費の扱いだけでなく、10年前に組んだ固定金利の住宅ローンの落とし穴についても指摘してくれました。

夫の出張費で家計が混乱

夫の出張費で家計が混乱してしまい、毎月赤字に。上手な管理方法は?

【相談者】

橋本真智子さん(仮名) 静岡県・44歳(パート)
夫46歳(会社員)、長男11歳、長女9歳

【お悩み】

夫の出張が不定期にあります。経費は自分で立て替え、あとで精算するシステム。出張が多いと家計からどんどんお金が出ていき、家計費が不明になり赤字に。うまく管理して、学資保険と個人年金以外にも貯金を増やしたいのですが…。

【橋本さんの家計収支】

<収入>
夫の月収(手取り) ¥350,000
妻の月収(手取り) ¥35,000
児童手当 ¥10,000
収入合計 ¥395,000

<支出>
住居費 ¥84,000 

←check1

食費・外食費 ¥70,000 

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電気料金 ¥7,000
ガス料金 ¥9,000
水道料金  ¥6,000
通信費(固定電話) ¥2,000
(携帯電話2台分) ¥20,000
新聞代 ¥3,000
日用雑費 ¥30,000 

←check2

レジャー・交際費 ¥10,000
美容費 ¥10,000
子ども費 ¥37,000
クルマ費(ローン含む) ¥20,000
こづかい(夫) ¥40,000 

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こづかい(妻) ¥10,000 

←check3

生命保険料(夫婦2人分) ¥30,000
学資保険料 ¥24,000

支出合計 ¥412,000
収支 -¥17,000
現在の貯蓄 ¥0
ボーナス収入 ¥1,400,000

出張費の専用口座をつくり家計費と完全に区別して

橋本家の場合、まず出張費の専用口座をつくりましょう。最初にボーナスから20万円ほど入れ、出張費はそこから支払います。カード払いの引き落としや、会社から戻ってくるお金の振り込みもここにすれば、家計費と完全に分離でき、紛れません。

そのうえで、貯金を増やすためには、住宅ローンの見直しが必要です。今のローンを金利の低いものに借り換えれば、月の返済額が8000円減るだけでなく、返済期間も5年短縮(夫71歳まで→66歳まで)できます(Check1参照)。また、日用雑費に、医療費や美容費も含めて管理しているのも、出費を押し上げる原因。それぞれ予算を分けた方が使い道がはっきりして、引き締まります。さらに多すぎる食費、夫婦のこづかいも見直せば、2万円以上の貯蓄が可能になります。

貯蓄が保険の分だけなのはとても危険なこと。いざというときに備えて、すぐに下ろせるお金を普通口座に貯めておきましょう。

●check1:借り換えで返済額8000円減。返済期間も5年短縮に!

10年前に組んだ固定金利の住宅ローンは、3.33%と高金利。しかも、夫が71歳になるまで返済が続きます。低金利のローンに借り換えて、返済期間も短縮しておきましょう。全期間固定のフラット20に借り換えた場合、金利は1.03%で、返済額は月7万6000円、ボーナス時約16万円。団体信用保険料に入り直すお金がかかりますが、月々の返済額は8000円減で、返済期間は5年短縮に。老後の安心のためにはぜひ実行してください。

●check2:食費と日用雑費を1万7000円減。医療費の新税制も活用して

食費は週1万円×5週に加え、外食を1万円にし、1万円減を目指しましょう。日用雑費は、日用品8000円、医療費1万円、美容費5000円に分け、7000円カット。また、医療費で市販薬を買うことが多いという橋本家。今年から「セルフメディケーション税制」がスタートし、OTC医薬品(※)のロゴマークつきの薬品を買い、年間合計が1万2000円を超えると、超えた分が所得から控除されるので、気にしてみて。

(※OTC医薬品は「オーバー・ザ・カウンター」の略で、薬局、ドラッグストアなどで購入できる医薬品のこと)

●check3:こづかいは月収の1割が目安。少なければボーナスで上乗せを

こづかいは、夫婦の手取り月収の1割が目安です。夫は4万円から3万円に、妻も7000円に縮小しましょう。橋本家の場合、ボーナスに余裕があるので、ボーナスから縮小した分を補うのがおすすめ。年2回のうち、1回につき妻は半年分1万円をもらい、夫にも半年分で3万円を手渡せば、夫も理解してくれるはず。