もしも、コロナ禍で災害が起きたら…。対策ができていない人の方が多いのではないでしょうか。
災害はいつ起こるかわかりません。「最悪の状況」が起きた時に自分の身を守るため、今のうちに準備しておきましょう。

防災の専門家・レスキューナースの辻直美さんに、コロナ禍で災害が起きた場合に備えておきたいことを教えてもらいました。

コロナ禍で災害が起きたら、こんな事態が考えられます

避難所の様子
コロナ禍で災害が起きた場合に備えておきたいこと
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コロナ禍で災害が起きた場合、避難所や病院に頼れるハードルが高くなることが想定されます。日ごろからイメージし、準備しておくことが大切です。

(1) 避難所に入れない

避難所は三密対策で定員が大幅に減るため、在宅避難できるように備えておくことが大切です。避難所に行くなら、即断しなければなりません。冠水や土砂崩れ、建物倒壊などのリスクがあるなら、感染の心配よりも命を守る行動が最優先。事前に水害と地震、それぞれ最低3か所ずつ避難所を選び、足を運んで確認しておきましょう。

(2) 免疫力低下で感染しやすくなる

被災時は心身のダメージによる免疫力の低下と衛生状態の悪化で、感染症が蔓延しやすくなります。対抗するには、免疫力を上げること。不安な気持ちを和らげるため、普段から「3秒、3分、30分で気持ちを上げられるもの」をもつと安心です。
3秒は嗅覚(アロマオイルなど)、3分は触覚(好きな手触りのもの)、30分は視覚・身体(好きな人の写真を見る、漫画を読む、運動など)に訴えるものです。非常用持ち出し袋に入れておくといいですね。

(3) 救援物資がなかなか届かない

救援物資はアテにせず、自分が持っていったもので何とかする心積もりでいましょう。なぜなら、サポート側も感染対策をしており、県外からの災害ボランティアの受け入れは制限されます。さらに、避難所が分散されるので、物資があっても配送する人の数が足りません。水や食料のシェアも控えるべき。生きていくのに必要なものは自分で用意しておきましょう。

(4) 医療現場が限界を迎える

現在病院では、熱や咳、鼻水などの症状がある人を“新型コロナ感染者疑い”として扱うため、診察が終わるまでに通常の倍以上の時間がかかります。被災時は、入院中の患者のケアに加えて、ケガ人への対応で手いっぱいになり、“コロナかもしれない”人は、診察や入院を拒否される可能性が高いです。厳しいですが、今のうちに抵抗力を高めてウイルスに負けない体をつくるしかありません。

在宅避難のために。コロナ対策用「衛生用品」を備蓄しよう

大きな災害が起きたら、コロナ対策グッズは手に入りにくくなります。余裕のあるときに買いそろえておきましょう(必要以上に買いだめするのはやめましょう)。

<3週間はしのげるように準備しておきたいもの>

マスクやアルコール消毒など

上写真は、大人一人が3週間しのぐことができる備蓄量。この量を常にキープするよう準備しておくことをすすめます。

石けんは場所を取らず、持ちもいいのでハンドソープより備蓄向きです。マスクは洗えるものがあれば、不織布のものは50枚ほどでいいでしょう。

消毒液は、少し多めに用意を。スプレータイプを2本、ジェルタイプを1本、逆性石けんの原液を1本、在宅避難用に備蓄します。逆性石けんは引火性がないので備蓄に◎。無水エタノールでもいいですが、扱いには注意。

断水しても口の清潔を保てる、マウスウォッシュも必需品です。水道が止まることを想定して、使い捨て手袋も用意。災害用トイレの始末、災害ゴミの処分の際に必須です。

●ほかにもこんなものがあると便利です

薬やメガネなど

持病の薬、コンタクトレンズ、メガネ、補聴器、アレルギー対応食品などは、人によっては“生きていくのに不可欠なもの”ですが、被災すると簡単には手に入りません。前もって自分で多めに用意しておきましょう。予備のメガネとコンタクトは自宅の複数箇所に置き、バッグにも入れておくと安心です。盲点の薬用の水も忘れず。

新聞紙とペットシーツは、災害用トイレや体温調節に使えます。ペットシーツは多量の水分を吸うため、生理用ナプキンやおむつ、雑巾がわりにもなります。

加えて、カセットコンロとボンベは必須。冷たい水で体を拭き、冷たいものしか食べられないと、想像以上に悲しい気持ちになります。温かい食事で心と体を温めましょう。

感染防止のため、普段からできる対策を実践することで「コロナ+災害という“最悪の状況”が起きたとしても、 負けない心と体を養いましょう!」と辻さん。

辻さんの著書『

レスキューナースが教える 新型コロナ×防災マニュアル

』(扶桑社刊)には、帰宅したらやることリスト、外出時の対策、災害時に生き抜くための備えなどが満載。ぜひチェックしてみてください。