思春期で自分のことだけで精一杯、家族に気を回す余裕などなかった当時の私は、周囲の母親より高齢な母を年寄り扱いしていました(今の私と同じぐらいなのに!)。もう年だからしょうがない、そんなふうに見ていたと思います。でも今思うと、母は「更年期うつ」だったのかもしれません。人づき合いや外出もめっきり減り、半引きこもりのような状態でしたから。私が就職する頃にはだいぶ回復しましたが、この頃のダメージは後々まで響いていたと思います。
私より14歳年上の姉は、52~54歳ぐらいの頃はホットフラッシュがひどく、会うたび首に文字通り滝のような汗をかいてたのを覚えています。若い頃はガリガリに細かったのに急激に太り始めたのにも驚きました。その時期に彼女に過度にストレスがかかることが起こり、メンタルの病気を発症したのですが、振り返ればちょうど更年期のピークと重なったせいもあったのでは、と思うのです(現在姉の病気は落ち着き、元気に過ごしています)。
●心の準備はできていたつもりでも…
そんな2人を見てきて、同じ家族だけに気質・体質に近いものあるだろうし、私も更年期障害からは逃れられないかもと不安がないわけではありませんでした。ただ、40代でヨガやランニングに取り組むようになり、それまでの不摂生な生活から一転、心身ともにラクになる感覚を覚え、健康に気をつかっていたら、何事もなく乗り越えられるかもとの望みも出てきたのです。
仕事で更年期についての取材をする機会も複数あり、どんな症状があり、どんな対処法、治療法があるかの知識を得たことも、心の準備に役立つものでした。それでも、今回のこわばりや痛みが更年期によるものかもしれないとなったら、やはり来たかと軽いショックがありました。
2年前からはボディセラピストとしての活動を始め、思考と心と体の関係性についても理解を深めてきただけに、今、体に起こっていることは私になにを伝えようとしてるのだろう、そんなことを思いながら更年期外来へと向かったのです。
●初めての更年期外来受診、ホルモン補充治療を行うことに
予約したのは、3年ほど前、雑誌の仕事で更年期特集を担当したときに取材を受けていただいた先生のクリニック(受診時にそのことは話題にしませんでした)。症状と整形外科での見立てを伝え、持参した血液検査の結果を見てもらいました。生理は去年3月が最後。
「1年間生理がないと、閉経を迎えたことになります」。はい、取材のときに伺いました。たしか、更年期は閉経の前後5年を合わせた約10年間のことを言うんですよね。
「すでに更年期特有の症状が出ていて不思議ないですね」とのこと。そしてストレスがどれだけ更年期に影響するかを説明してくれました。「ましてや今はコロナ禍でもあり、ストレスがないわけないと思いますよ。まずそこに気づいて無理しないこと。休むことが本当に大事なときですからね」と先生。
●いよいよホルモン補充治療がスタート
ホルモンの状態を知るのに、こちらでも血液検査を受けることになったのですが、症状からみて、結果を待たずに今日からホルモン治療を試してもいいかもしれないということで、HRT(ホルモン補充療法)を開始することに。更年期に大きく減少する「エストロゲン」という女性ホルモンを補う治療法で、更年期障害と呼ばれる諸症状を緩和するのに有効とされ、始めてすぐ効果を実感する人も多いのだそう。「1週間試してもらった感触と血液検査の結果を見て、またどうするか考えましょう」ということでした。
すべての画像を見る(全4枚)エストロゲンを補う薬には・飲み薬・パッチ剤・ジェル剤と3つのタイプがあり、肌が弱くないならパッチがおすすめとのこと。3日に1回はり替えるだけでよく、皮膚から直接血液中に入るので内臓への負担が少ないとされています。
※保険適応の治療薬にはほかにも種類があり、写真のものは一例です。
まさか受診したその日からホルモン補充治療を始めることになるとは。ここから「更年期」ときちんと向き合う生活がスタートしました。私の場合はホルモン補充治療を受けることになりましたが、治療法は人によってさまざまです。気になったらぜひ、早めに婦人科を受診してみてください。
【日比響子さん】
東京・下北沢にある隠れ家スタジオ「studio hi_bi」主宰。ゆるめるボディケアamical®をベースにしたオリジナルメソッド“hi_biゆるケア”を軸に、体と心をゆるめて本来の自分を取り戻すボディセラピストとして活動中。ブログ「
【東京・下北沢の隠れ家スタジオstudio hi_bi】カラダをゆるめて人生を楽しむ方法を伝えてます♡」。