昨日まで普通に会話をしていた家族が突然亡くなる…。
「まさか」の事態が起きたとき、遺された家族がしなければならないこととは。

新型コロナウイルス禍で緊急事態宣言措置が実施されていた今年の5月に、単身赴任中だった当時56歳の夫が突然死するという経験をされた、ライターの佐藤由香さん(52歳)。

前触れもなく迎えることになった夫の死に、どう対処し、どう向き合ってきたのか。今回は赴任先の地で亡くなった夫に対面した日の夜から始まった「喪主」としてやるべきこと、そこから見えた生前に準備しておくべきことについてつづっていただきました。

突然死した夫に対面後、まず取りかかったのはスマホのロック解除

スマホロック画面
遺された家族としてまずやったのはスマホのロック解除でした
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夫が倒れているという連絡を受け東京の自宅から800km以上離れた単身赴任先へ急行。警察で遺体に対面をしたのち、夫が住んでいた家に帰宅。この日の夜から、私には妻、喪主としての膨大な仕事が待ち受けていました。私たちには子どもはおらず夫婦2人だけの家族。心は動揺しているのに、悲しみに暮れている状況ではありませんでした。

一番目は、親族、友人への連絡です。
連絡帳などをつくらなくなった今の時代、電話番号もメールアドレスもスマホの中ですから、まずロック解除をしなくてはなりません。

わが家の場合、夫はデジタル関係があまり得意でなく、接続や設定といった作業は私の役目でスマホのパスコードを把握していたため迷うことなく開けたのですが、夫婦でもデジタル機器のパスワード共有をしていない人はとても多いと思います。

でも、突然死のように「まさか」の事態が起こると、パスワードがわからないのは大変な問題です。大切な人に連絡がとれない、写真や動画など思い出が取り出せないだけでなく、資産管理や運用にネットを使っていたら財産や負債を把握するのも一苦労です。

「デジタル遺品」という言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、これからの時代、夫婦、パートナー間のパスワード管理は最重要事項です。非常持ち出し袋の中身を考えるように、パスワードについても家族、夫婦で一度話し合っておくといいかもしれません。教え合うことが難しいなら、万一に備えてメモを残すなどの対策をしておくと安心だと思います。

ちなみに、夫が運ばれた警察でも、スマホのロック解除を試みようとしたらしいのですが(事件性を調べるためだと思われます)、パスコードがわからずに開けなかったそうです。

●夫の友人への連絡がスムーズにできたわけ

訃報連絡をだれにするか。
友人関係は、仲がいい人から周辺の人に回してもらうおうと思いましたが、夫の交友関係はそれほど深く知らず、とくに趣味関係の友人はまったく知りません。

どうしたものかと思いながらスマホの連絡帳を開いたところ、見てびっくり。
夫の連絡帳は「●●さん ●●中学」「●● スポーツクラブ」「●●● サークル」など、名前と一緒にその人との関係まで入力されていたのです。もちろん全員ではなく、逆によく連絡をとる親しい人は苗字や名前だけだったりするのですが、連絡すべき人がひと目でわかる。これには本当に助かりました。

交友関係がわからなければ、LINEなどからメッセージを送ったり、SNSを通じて発信するという方法もあります。ただ、突然死の場合は、デマだと間違われることもありますので、できるだけ電話で知らせたほうがいいように思いますし、そのためには関係性を入力しておくのはかなり有効だと思いました。