大の漫画好きとしても知られるTHE ALFEEのリーダー・高見沢俊彦さんが今イチオシの作品を紹介。ここでは、限界OLの人生総決算リベンジストーリー『この世は戦う価値がある』について語ります。
限界OLの人生総決算リベンジストーリー
『この世は戦う価値がある』こだまはつみ/著 小学館刊 全5巻
入社3年目の伊東紀里(きり)は、職場ではセクハラ、彼氏からはモラハラを受け、つらい毎日を送っていた。そんな状況に絶望し、遺品整理を始めるが、郵便物の中からあるものを見つけて…。

この世は戦う価値がある(1)(ビッグコミックス)
社会人3年目、伊東紀里が抱えているのは、セクハラとパワハラが蔓延(まんえん)する職場と、心を削ってくるモラハラ彼氏という逃げ場のない日常。この作品の凄味(すごみ)は彼女の負の感情をそのままの温度で相手にぶつける点にあります。
紀里が自分の現状に失望した末に選んだのが、これまで我慢してきた「貸し」や無理やり飲み込んできた「借り」を、全部ひっくるめて精算すること。つまり復讐です。その姿はかなり豪快で爽快なのですが、どこか自分に向けてでもあるようで、ヒリヒリするほど現実的でもあります。
実際、彼女のように職場や恋人に真正面から復讐なんてできませんよね。そこで読者は紀里を通して、言えなかった言葉、飲み込んだ怒り、諦めてしまった自分の本音を吐き出す、疑似体験ができるかもしれません。
「この世は戦う価値がある」というタイトルも、決して前向きなスローガンではなく、なにもかも投げ出したくなった人に向けて、それでも戦ってしまう自分を肯定してくれる、苦いけど優しい意味を含んでいるなと思いました。
