忘れられない服の手放し方
すべての画像を見る(全3枚)私の元には、「服が手放せません」というお悩みを抱えた方が年に何百人といらっしゃいます。幸せな思い出と紐(ひも)づいている服や思い入れがないからこそ、「まだ手放すにはもったいない」と手放しがたい服もあるかもしれません。
私は2018年から制服化を始めたのですが、そのときから今日までに買った服をすべて覚えています。ほとんどの服は100~200日は着ますし、なかには700日以上着ている服もあります。
もっている服すべてに愛着はありますが、年に4回の断服式を行うと「卒業メンバー」が出ます。しかし、どんなに愛着があっても執着はないので、「手放せなかった」ことはありません。
「愛着はあるのに執着はない」理由は、「たくさん思い出がありすぎて服と自分が融合したから」だと思っています。その服と長く一緒に過ごした思い出があると、手放しても一緒にいるような感覚があるので、ちっとも惜しい気持ちがないのです。
クローゼットは「美しいお花畑」
私にとって、クローゼットは「美しいお花畑」です。お花に水をあげて、太陽に当てて大事に育てるように、毎日大好きな服たちを触って、愛でて、にこにこしています。
しかし、どんなに大切にしていても、やはり買ってから数年がたってしまうと生地が傷んできたり、「今はこの服の気分じゃないな」という気持ちの変化があったりします。そんなふうに感じたら、まさに「手放すタイミング」です。
服を手放すとき、私はいつも「お花を別のお花畑に移す」気持ちで手放しています。私の持っている土壌(=スペース)にも、かけてあげられる愛情(=ケア)にも限界があるため、たくさんの花を植える(=服をもつ)ことはできません。どの花にも愛情を注ぐことができるようにしたいから、たくさんの服はもたないのです。
服を手放すことは「目的」ではない
断服式をおすすめしてはいますが、同時に私は「無理に手放す必要もない」とも思っています。断服式は「服を手放したいけれど手放せない」という方へのアドバイスであって、「私は服をたくさんもっているほうが幸せ」「お気に入りの服は10年20年だって着続けたい!」という方にまで、無理強いするものではありません。どの信念も、とてもすてきだなと思っています。
私の目的は「服を減らすこと」ではなく、「ファッションを楽しんで人生を気持ちよく過ごすこと」です。成人式の振袖、結婚式のゲストドレス、お出かけ用のワンピース、相棒のように連れ添ってきた靴など、「思い入れのあるもの」を手放した方がいいと言っているわけではありません。本当に大好きで、心から大切にしたい服は、着なくてもとっておいていいのです。
「このとおりにしないといけない」というものは1つもありません。自分自身が快適に過ごせる方法と、それぞれの正解を見つけていってもらえたらうれしいです。
『自問自答ファッション 制服化スタイリストが教える自分らしく生きるヒント』(朝日新聞出版刊)では、服選びの際につい迷ってしまう具体的なお悩みに寄り添ったファッションの楽しみ方を多数解説。「自分らしいおしゃれ」を満喫するためのアイデアが詰まった1冊です。ぜひチェックしてみてくださいね。

