冬になると増加する入浴中の死亡事故。その多くに関わっているとされるのが「ヒートショック」です。温泉療法専門医の早坂信哉先生に、ヒートショックが起こるメカニズムと、やってはいけない危険な入浴習慣について、詳しく伺いました。

ヒートショック
※画像はイメージです(画像素材:PIXTA)
すべての画像を見る(全3枚)

冬に“入浴中の死亡”が増える背景

ヒートショックとは、この急激な温度差によって引き起こされる血圧の乱高下のこと。これが脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気を引き起こすことがあります。

冬場にヒートショックが起きやすいのは、外気温が下がるほど、脱衣所や浴室も冷え込みやすくなるためです。冬場は暖かいリビングと寒い脱衣所、そして、熱い湯船との間に大きな温度差が生じます。寒い脱衣所で服を脱ぐと、体は寒さから身を守ろうとして血管を収縮させ、血圧が急上昇。さらに熱いお湯に浸かると、交感神経が刺激されて血圧はさらに上がります。

そのため、寒いからといってお湯の温度を上げがちになることも、リスクを高める要因となります。

一般的に、温度差が5℃以上あると、ヒートショックが起こりやすくなるといわれています。真冬の脱衣所は10℃以下になることも珍しくなく、そこから42℃のお湯に入れば、30℃以上の温度差にさらされることに。

50代から危険が急増する理由

動脈硬化
※画像はイメージです(画像素材:PIXTA)

寒暖差はどの年代の体にも負担をかけますが、健康被害へとつながるのは、圧倒的に50代以降が多いです。

その理由としては、若い人の血管は柔軟性があり、急激な血圧変動にも耐えられます。しかし、年齢を重ねると動脈硬化が進み、血管が硬くもろくなっていきます。

イメージしやすいのは水道のホース。新品のホースは柔らかく、水圧をかけても膨らんで対応できますが、庭先に10年も放置したホースは硬くなり、強い水圧がかかると破れてしまいます。

高齢者の動脈も同様で、急激に血圧が上がると硬くなった血管が耐えきれず、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞を引き起こすリスクが高まります。動脈硬化は加齢とともにだれにでも起こりますが、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を放置していると進行が加速。

50代はこうした生活習慣病が顕在化しやすく、動脈硬化も進み始める年代だからこそ、入浴中の事故リスクが急増するのです。