以前は禁止されていた「クリスマス」
すべての画像を見る(全7枚)ジョージアは1991年のソ連崩壊後、宗教の自由が戻り、長らく禁じられていた伝統的な行事が少しずつ復活しました。それまでは、クリスマスを含む宗教的なイベントは公には祝えなかったようです。
だからこそ今、人々はジョージアらしい「自分たちのクリスマス」を大切にしながらも、西欧文化やグローバルな要素も取り入れていて、まさに「文化が混ざり合っている最中」といった感じです。
クリスマスは年明けとなりますが、街のライトアップやデコレーションは、徐々に華やかになってきています。ホテルやレストラン、外資系のスーパーなどでは、ツリーやリース、オーナメントも見かけ、そうしたコーナーには、買い物客が楽しそうに集まっていて、少しずつ「その日」が近づいているのを感じます。
そして、ひときわ目を引くのが、白い衣装のサンタクロース!
ジョージア語では「トヴリス・バブア(Tovlis Babua)」と呼ばれ、「雪のおじいさん」という意味なのだそう。真っ白な帽子とローブを身にまとった姿は、どこか神聖で優しげ。赤いサンタとはまた違う、静かでやわらかい存在感があります。
ジョージアならではのクリスマスツリー「チチラキ」
この時期、市場や道ばたで少しずつ見かけるようになるのが、「チチラキ/Chichilaki」という、ジョージアの伝統的なクリスマスツリー。
一見、ふわふわした枝のようなこのツリー。じつは、ヘーゼルナッツやクルミの木の枝を、職人さんが丁寧に細く削って、白い羽のように仕上げたものなんです。
高さは30cmほどの手のひらサイズから、1mを超えるものまでさまざま。そこにリンゴやザクロ、小さな果物やお菓子を飾りつけて、「実りある一年になりますように」と願いを込めて飾るのが、この国のクリスマスの風習。
この素朴で優しい佇まいのチチラキが、少しずつ並び始めるのを見ると、「ああ、ジョージアでは、これがクリスマスの入り口なんだな」と感じます。
赤や金で華やかに彩るクリスマスツリーとは異なり、“心に灯る”ような冬の風景が見られることも魅力の1つです。
文化が違えば、クリスマスの風景もこんなに変わるんだと、ここジョージアで実感しています。
でも、小さな街の明かりや、そっと揺れるキャンドルの光に、心がやわらかくなるのは、どこにいても同じ。大きさや華やかさに関わらず、静かな幸せを感じられることこそが、本当のクリスマスなのかもしれません。
この季節、皆さんの心にも優しい明かりが灯りますように。



