4:レストランの「おしぼり」
すべての画像を見る(全5枚)海外のレストランでテーブルにあるのは、たいてい紙ナプキンだけ。ぎゅうぎゅうにつまったケースから、自分でふき取るタイプが主流です。
日本のように、席に座った瞬間、「どうぞ」と静かに差し出される温かい(ときどき冷たい)おしぼり。じつはとても贅沢な“ひと呼吸”の時間だったのだと、気がつきます。
あの瞬間って、手を清潔にするだけではなく、気持ちをきり替えるリセット時間。「さあ、ここからおいしい時間が始まる」という合図にも思えます。
海外ではその瞬間がないので、いつの間にか食事がスタート。そして、飲料水が無料で出てくることも、滅多にありません。
5:「いただきます/ごちそうさま」という言葉
食卓での驚きのもう1つ。外国語には、「いただきます/ごちそうさま」に当たる言葉が、なかなか見当たりません。食事が始まると、みんな自然に席につき、食べ終わったら、そっと立ち上がる。その瞬間に、特別な言葉を交わすことがないのです。
日本の「いただきます」は、食材やつくってくれた人への感謝。そして「ごちそうさま」は、生きるためになにかをいただいた、その命や手間への“ありがとう”のこと。
このような意味の言葉が習慣としてあるだけで、日本独自の丁寧な作法であることに気づかされます。
6:旅先からだれかに買って帰る「お土産」
「お土産」という文化が、ほとんど存在しないことにも驚きます。海外の人たちから、「旅行に行ってきたよ」という報告はあっても、「買ってきたよ」と手渡しされたことは、この3年間で一度もありません。
現地では旅行は“自分が楽しむもの”。だれかに持ち帰ることは求められていないようです。
そのたびに思い出すのは、日本で当たり前だったあの光景。旅行先で、相手の顔を思い浮かべながら「これ、喜んでくれるかな」と選ぶ時間。日本人が大切にしてきた、「あなたを思いました」という丁寧な気持ち。海外に出ると、その美しさがじんわりしみてきます。
7:トイレやベランダに「スリッパ」
海外は基本的に“土足スタイル”。とはいえ、寝室だけは室内履きにしたり、シャワー後にスリッパを使ったりと、場所により履き替える人はいるようで、室内履きが並ぶお店も、最近はよく見かけます。
でもある日、海外の友人に「日本では、トイレ専用・ベランダ専用・お風呂掃除専用まであるのよ」と話したところ、「どうしてそんなに分けるの?」と、とても驚かれました。
“空間ごとに履物を変える“という習慣は、日本ならではの徹底具合。靴を脱ぐ→空間が整う→気持ちがきり替わる、この“静かなリセット”は、暮らしのリズムを整えてくれていたんだな、と改めて感じます。
海外に出て気づいたのは、「日本の丁寧さは、世界で特別」ということ
海外の暮らしは刺激的で、自由で、毎日が新鮮です。
でもその一方で、日本で当たり前だと思っていた小さな気づかいや所作が、じつは暮らしの安心を支えてくれていたんだ、と感じる瞬間がたくさんあります。
海外生活から見えてくる“日本のよさ”も、視点のひとつにしながら、また皆さんにお届けしていきたいと思います。


