50歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した長男・うーちゃん、里子の長女・ぽんこちゃんという家族5人で暮らしています。

ある日突然、ベビーベッドで寝るのが嫌になってしまったぽんこちゃん。古泉さんは自分の時間を確保するのが難しくなったうえに…。

寝たと思ったら起きた…。幼児の寝かしつけは辛いよ。

1歳児のぽんこちゃんは毎晩9時前になると目をこすり始めます。それを合図におしゃぶりをくわえさせ、ベビーベッドに寝かせるとそのまますっと眠ってしまいます。

おしゃぶり
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ところが最近、急にベビーベッドを嫌がるようになって困っています。おしゃぶりを見せると「寝かせられる」とわかるようで激しくいやいやします。ベビーベッドの柵に閉じ込められるのがおもしろくないのでしょう。

あんまり嫌がるので、ぼくの部屋のベッドの横に大人用の布団を敷いて寝かせることに。

「パパの部屋でねんねするか?」

そう言っておしゃぶりを見せると、嫌がらずに口にくわえてくれます。

部屋を真っ暗にして隣で寝ていると、ぽんこちゃんが布団の上を転げ回っているのがわかります。

寝かしつけ

やがて眠って動かなくなり、しばらくしてからベビーベッドに抱っこして連れて行くのですが、うっかり眠りの浅いときに運ぶと目を覚まして泣き叫んで「あっち、あっち」と出口を指さしてぼくの部屋に戻ると言います。仕方がないのでまたぼくの部屋の布団に逆戻りです。

ぼくの部屋でぽんこちゃんが寝ると、電気を消すのでぼくも一緒に寝なくてはなりません。夜の9時は部屋でパソコン作業をしたり映画を見たりしたい時間なので非常に困っています。

さらに困ったことがもうひとつ。

ぽんこちゃんをぼくの部屋で寝かすようになってからというもの、ベッドの横に布団があるため、うーちゃんが大喜びでベッドから布団に飛び降りる遊びが始まってしまいました。夕食を終えると「パパの部屋で遊びたい」と言います。

ジャンプ

ある日のこと。

ぼくが布団で寝転がっていたとき、うーちゃんが「パパのほうに行っていい?」というので「いいよ」と返事をすると、ベッドからジャンプしてぼくのお腹に着地しました。てっきりぼくの横に着地するものと思っていたので思わず「ぐえ!」と声が出ました。プロレスラーがそんなやり方で腹筋を鍛えているのを見たことがあります。

別の日にはタオルケットを頭からかぶせられて鼻のつけ根に頭突きされたことも。視界が遮られていて完全に不意を突かれてガツンとやられたので、しばらく動けず声も出せないほどのダメージでした。

寝る前の遊びにはぼくが参加させられることもあります。

ベッドの横にぼくが座ってバンザイするとうーちゃんが両手でつかみ、ぼくが持ち上げる形で敷いてある布団にジャンプします。自分で飛ぶより遠くに飛べて楽しいようです。それを見ていたぽんこちゃんもうれしそうにベッドに上がって僕の手をつかんでジャンプします。

二人はキャッキャ、キャッキャと転げまわって上になったり下になったりしてテンションを上げて遊んでいます。ぽんこちゃんは、コロコロと布団から転げ落ちてハラハラしますが、ケラケラ笑っています。

おもちゃ

ぽんこちゃんがうーちゃんのマネをするのはめずらしくありません。

うーちゃんがぼくに向けてブロックでつくった銃を構えて「バンバンバンバン」と撃っていると、ぽんこちゃんもブロックを手に持ってぼくに「バン」と撃つようになりました。意味は分かっているのでしょうか。お兄ちゃんがやっている遊びをするのが楽しいようです。

9時になるとぽんこちゃんはもう寝る時間なのでうーちゃんには部屋から出て行ってもらいます。そうして電気を消して真っ暗にします。ぽんこちゃんはさっきまで大はしゃぎで大興奮していて大丈夫かなと思うのですが、そんな心配をよそにすっと寝てしまいます。

【古泉智浩さん】

漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(@koizumi69)をチェック!