現場で見つけた「猫」
同じようにスタッフの田中さんも、“ペット”にまつわる切ない現場に何度か立ち会ったことがあります。いちばん心に残っているというのが、一軒家の現場で発見された、猫と思われる3体の白骨が発見されたことだそうです。
「多分、飼い主さんが亡くなってしまったあと、エサも水も得られず、力つきてしまったのだと思います…。数日なら動物も耐えられるかもしれませんが、数週間も発見されなければ、最悪の事態になりかねません。もっと早く発見できていれば…と、今でも悔やまれます」(田中さん、以下同)
その経験もあり、じつは田中さん、別の現場で見つけた4匹の子猫を全匹引き取ったこともあるそう。
「片付けをしていた現場でたまたま4匹の子猫に遭遇したんですね。あたりを見渡したところ、親猫らしき姿は見当たらず…。飼い主を探したものの、なかなか見つからなかったため、過去の経験もあり、思いきってうちに迎え入れることにしました」
当時は、200gほどにやせていた子猫たち…。しかし、田中さんの家で愛情たっぷりに育てられ、今では7kgにまで成長し、元気に暮らしているそうです。
●自分亡きあとのことも考えることが飼い主の務め
このケースでは田中さんが引き受けましたが、毎回飼ってあげることもできません。そのため、現在は、地元の保護犬・保護猫団体と連携し、遺品整理の現場で保護された動物たちの新しい飼い主探しをサポートしています。
「高齢者やひとり暮らしで、動物を飼う方も多いかと思います。ですが、その場合はやはり、できるだけ毎日どうしているか、だれかと連絡がとれるようにしておいてもらうと、ペットのためにも安心かと思います」
最近は、犬や猫のために遺言を残したり、ペット信託を利用することも可能になっています。各自治体の動物愛護センターのホームページを確認したり、弁護士や法律相談窓口に相談してみるのもよいでしょう。もはやペットは大事な家族。大袈裟だと思わずに準備しておくのも飼い主の務めなのではないでしょうか。
※ 実際の体験をもとに、依頼者および遺品整理業者の許諾を得て制作しています。個人情報保護の観点から、登場人物や一部の状況は実際の事例を損なわない範囲で変更しています