他人に比べると、自分は運が悪いような気がする。「そんな風に感じたときは、脳の使い方を変えるのがおすすめです」と語るのは、脳科学者の黒川伊保子さんです。じつは、日頃から幸運を感じやすい人には、脳の使い方に特長があるのだとか。今回は、ネガティブな目に遭ったときの対処法や運をよくするための心構えなどを、黒川さんに解説してもらいました。
「自分はこうしたい!」を大切にする
心から納得したときの「腹に落ちる」感覚。その瞬間、ストレスがフワッと消えて、とっても気持ちがいいですよね。これって、脳にも身体にも、とてもいい状況にあるのです。
私たちの脳は、「そうか、なるほど」と納得したとき、「小脳」という場所が活性化しています。そして、小脳が活性化すると、小脳から小腸へ連絡が行って、免疫を司る小腸が刺激されるといわれています。これがまさに「腹に落ちる」の正体なのです。
小脳は免疫を司っているので、腹に落ちると、免疫力があがります。つまり心身ともにタフになれるわけ。腹に落ちれば、免疫力が上がるわけですから、風邪も引きにくくなります。また、多少無理をしても、疲れを感じにくく、健康でがんばれることになります。
反対に、腹に落ちないことで無理をさせられたら、疲労感が抜けず、メンタルダウンにつながることも。「腹に落ちないこと」を無理やりにやらされることほど、辛いことはありませんよね。
仕事のみならず、腹に落とすことは、命としての強さを維持していくためにも大切なことです。
ただ、最近は他人の目を気にして、「いい子ちゃん」でいたいがために、腹に落ちないことでもがんばっている女性が多いのが気になります。そうすると、どんどんストレスがたまっていき、脳にも腸にもよくない。自分が「これだ!」とつかんだことを大切にしてほしいと思います。
感覚をつかめば、日々のイライラも不安感も大幅に減る
「腹に落ちる」ことの決め手になるのが、小脳を活性化させること。そのためには、脳の「イメージの領域」と「身体制御の領域」を連帯して使う趣味を楽しむことがおすすめです。イメージと身体制御の統合が、小脳の役割だからです。
たとえば、「次はどんなふうに身体を動かそう」とイメージしながら身体を動かすダンスやスポーツ。茶道や書道、華道、武道など、“道”がつくものも、イメージと身体制御のコラボですね。料理や、楽器演奏や歌うこと、手芸やアートなどももちろん。
ポイントは、単に座学で勉強をするのではなく、イメージして、身体を使うこと、さらにその結果を五感で味わうことができること。
小脳が元気になるだけでなく、身体に覚え込ませた経験が「腹に落ちる」感覚をつかみやすくしてくれます。
腹に落ちた感覚なら、人になにを言われようがゆるがない。いい子ちゃんのふりをしたり、自分を見失って自分探しをする必要性もなくなります。
つまり、人が生きていくためには、「腹に落ちる」ことがとても重要で、その感覚をつかめるようになれば、日々のイライラも不安感も大幅に減るはずです。