スペインは夏のイメージが強く、観光地としても人気があります。そんなスペインに50代で単身留学中のRitaさんが、実際に過ごしてみて感じた「夏のスペインの魅力」を5つ紹介します。暑さに身をゆだね、ゆっくり休むことに罪悪感をもたないこと。夜こそが1日のハイライトであるという元気な感覚。自然体に生きるスペイン人の生き方を詳しくレポートしてくれました。

海
スペインの海
すべての画像を見る(全7枚)

1:暑さのピーク時にはがんばらなくていい「シエスタ文化」

スペイン

スペインの夏に欠かせないのが、「シエスタ(昼寝)」の文化です。

とくに暑さがピークに達する14時~17時ごろ、街はまるでゴーストタウンのように静まり返ります。スーパーも銀行も洋服屋さんも閉まっていて、「臨時休業かな?」と思ってしまうほどです。

最初はその静けさに戸惑いましたが、今では「日差しの下で無理をしない」ことが、自分を大切にする知恵のように感じます。私もこの時間は、極力身体を休め、冷たいものを飲み、ゆったり過ごすようになりました。

近所のマダムたちはおしゃべりを楽しんでから昼寝をし、起きてから夕食の準備をするという、ゆるやかなリズムで過ごします。

「がんばらなくていい時間」があるというぜいたくは、心にも身体にもやさしい習慣だと思います。

2:夜から1日が始まり、人とつながる時間に

スペイン

スペインの夏は、日が暮れるのがとても遅いのが特徴です。22時を過ぎても空はほんのり明るく、家族連れが散歩したり、カップルがアイスを片手に歩いていたりする光景が見られます。

夕食も21時~22時が当たり前で、昼間はひっそりとしていたバル(居酒屋)は、この時間になると一気に活気づきます。

「暑さを避けて夜に動く」のではなく、「夜こそ人とつながる時間」という感覚が、しっかり根づいているのです。3世代の家族がワイン片手に語り合ったり、友人たちが笑い声をあげて楽しんでいたり。

日本では「夜=終わり」の感覚でしたが、スペインでは「夜からが始まり」という感覚がとても新鮮で、今ではその時間が私にとっても特別なひとときになっています。

3:「冷製スープ」は夏の救世主

スペイン

真夏のスペインで、私がいちばん恋しくなるのが「ガスパチョ」です。トマトやパプリカ、キュウリなどをミキサーにかけてつくる、ひんやり冷たいスープで、冷蔵庫から取り出してそのまま飲める手軽さが魅力です。

スーパーには紙パック入りのガスパチョがずらりと並び、各家庭の「常備飲料」として親しまれています。

最初は「スープをスプーンなしで飲むなんて!」と驚いたのですが、今ではお気に入りの味をいくつもストックするようになりました。

朝の目覚めに、食欲のないときに、夜のおともに。それぞれのシーンにぴったり寄り添ってくれる優秀な栄養ドリンクです。地域や家庭によって味つけも違い、行く先々で試してみるのも、密かな楽しみの1つになっています。