家族のものを片づけたくてもケンカになってしまうことはありませんか。工夫次第で家族が片づけられないものも片づけられるようになります。エッセイストの小川奈緒さんは、ケンカを避けて、できる人ができない人をカバーすることで夫や義母のものも片づけられたと教えてくれました。

エッセイスト・小川奈緒さん
エッセイスト・小川奈緒さん

家の片づけで家族との衝突を避けるには

「家の片づけをすると家族とケンカになってしまう」というお悩みがよく聞こえてきますが、なにを隠そう、わが家も例外ではありません。

もっと家を居心地よくするために片づけたい私と、ものを大事にすることはものを捨てないことだと信じる夫と娘。

わたしにとってものを大事にすることは、それを日常的に使っている状態を指すので、数が増えるほどひとつひとつを大事にできなくなると考えています。ひとつ屋根の下に暮らす家族でも、その価値観はまったく違い、どちらが正しいと決められるものではありません。

ケンカを避けて、意欲的な人が主導する

引っ越しやリノベーションなど、これまでも何度か大がかりな片づけを経験し、そこから得た教訓は、「家族で仲よく片づけ作業をすることは最初からあきらめる」。そして「片づけたいと強く思っているほうが主導する」。

大切なのは、「一緒に仲よく」は無理でも、「ケンカは避ける」こと。お互い感情的になってしまうと、ただでさえ体力を消耗する作業に、家族に対する不満やイライラも重なって、余計に疲れます。効率は下がり、家の中の空気も険悪と、いいことがひとつもありません。

本来、片づけは不要なものを手放して心身共に軽やかになる、人生の棚卸しです。よりしあわせに暮らすための片づけで、家族仲が悪くなるなんて、本末転倒。

とはいえ、すべての人が片づけの必要性を理論で納得できるわけではなく、理屈としての正当性と、「捨てたくない」「捨てるのがつらい」という感情が折り合わない人もいます。

感情の部分で片づけを拒んでいる人を、なんとか変えようとがんばるのではなく、片づけることに意欲的な人が主導して早くゴールに到達すべし、というが今のわたしの考え。