高齢の親をもつ人は、親が年を重ねるにつれ、だんだん活力がなくなってきた、と感じることも多いのではないでしょうか。そんなときは昔の写真を見たり、お気に入りの音楽を聴いたりしながら当時の経験や思い出を語り合うことが効果的、と現役ケアマネージャーの田中克典さんは言います。豊富な介護経験をもつ田中さんに、高齢親を「元気にする」理想の関わり方を3つ、教えてもらいました。

写真アルバムを見るシニア女性
※画像はイメージです。(画像素材:PIXTA)
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1:いい写真はプリントして渡す

デジタルが普及してから、写真はスマホやパソコンで見るものになってしまいました。しかし、親は、紙焼き写真になじんでいる世代。スマホなどに保存された写真は、整理の仕方がよくわからず、その場でさっと見るだけ、という人も多いよう。

親がきれいに写っていたり、家族や友人と楽しそうにしているショットは、プリントして渡してあげましょう。手元にあればいつでも見られて、そのときのことを振り返ることができます。

一緒に写真の整理をし、アルバムづくりも手伝ってあげるといいでしょう。よく結婚披露宴や葬儀で、その人の人生アルバムをスライドで見せますが、あんな感じで、親の人生の軌跡がわかるように、一冊のフォトブックにまとめるのも一案。

誕生日などの折にプレゼントするのもいいでしょう。縁起が悪いと思われるかもしれませんが、遺影の準備も。とくに女性は「きれいな写真を遺影に」という思いがあります。

2:親の昔話を聞く

談笑する老夫婦
※画像はイメージです。(画像素材:PIXTA)

子どもは自分が生まれる前の親の姿を知りません。親が亡くなったあと、「親の若い頃の話を、もっと本人に聞いておけばよかった」と悔やむ声をよく耳にします。

自分のルーツを知りたいという思いはだれにでもあるもの。それをさっそく、実行しましょう。親にとっては、子どもが自分に興味をもって耳を傾けてくれるのはうれしいことです。

自分が興味あることや、親が喜んで答えそうなことを質問して話を引き出してみてください。両親の出会いや、昔の恋愛についても話を向けると、親は当時に戻って華やいだ気持ちになるかもしれません。

こうした質問を重ねることで、今まで聞いたこともないような話が飛び出し、自分が知らない親の一面に触れることができます。

●親に過去の話を聞くときの注意点

思い出の地を一緒に訪れるのもおすすめ。たとえば、親の実家や、親が新婚時代を過ごした場所。そこで懐かしい人々と会って話せば、さらに記憶が次々と呼び覚まされます。

ただし、親に昔話を聞くとき、決して無理強いしないように心がけてください。質問をして「もう忘れた」「今さら、言えるか」などと口をつぐんだら、それ以上は踏み込まない。

言いたくないこと、思い出したくない過去もありますから。