歩く速さ=認知機能!?脳と歩行の意外な関係

物忘れ
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最近人通りの多い道を歩いていると、人の波に乗れない。グループで歩いていて、気づいたら集団の輪から遅れていた。そんなことはありませんか? 身体が衰えたと思ってしまうかもしれませんが、じつは脳が衰えている場合も。

「60代の人の通常歩行時の歩幅は、平均50cmくらいとされていますが、認知障害が始まると歩幅はどんどん狭くなり、歩行速度も遅くなってきてしまいます。比較的分かりやすい例を挙げるとすれば、横断歩道の渡り方です。信号が青になって渡り始め、赤に変わる前に渡りきれなくなったら…注意が必要です」

●「ながら動作」で脳の健康度合いをチェック

また、歩きながら音楽を聴く、歩きながらほかの人と話をするといった、2つのことを同時に行う「ながら動作」も脳の健康度合いをチェックする指標に。

「米国の研究グループがスペイン人の40~64歳の男女を対象に行った実験(※Zhou Lancet Healthy Longevity 2023より)で、歩きながら計算問題も課した場合は、54歳以降は、年齢が上がるにつれて歩行速度が遅くなりました。また、認知機能テストの成績は、計算をしながら歩く速度と比例。これは、年をとると『ながら動作』が難しくなるということ、認知機能が低下すると『ながら動作』が難しくなることを示しています」

歩くことは、脳にポジティブな影響を与えます。これは、よく歩くことが脳のネットワークの活性化につながるからです。歩くことで血液がよく循環し、脳の栄養分となる「脳由来神経栄養因子(BDNF)」が増加。それによって、新しい情報を取り込んだり記憶を保持したりする認知機能がアップします。

まずは、歩くことを習慣づけて、脳のネットワークを活性化させましょう。

※この記事は「脳を鍛える! 人生は65歳からが面白い」(扶桑社刊)を再構成しています。

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