日本人が生活しやすい家具の高さや形を追求

アンガールズ田中さんと椅子
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菅村:田中さんご夫婦の身長は何センチぐらいですか?

田中:ボクは188㎝あるんです。うちの奥さんは、160㎝くらいかな。

菅村:身長差カップルは、高い人が低いほうに合わせるべきです。小柄な人が高い椅子に座ると、かかとが床に着かないので脚がむくみやすく、背もたれも使えないのでくつろげません。うちのテーブルは高さが61㎝前後で普通より10㎝低く、椅子は36㎝前後で通常より6㎝以上低いです。テーブルと椅子との差尺も短く、器を手に持ってお箸で食べる日本の食事のスタイルに合わせています。リラックスできますし、部屋が広く見えたり、お鍋を囲むときも中が見やすく取り分けやすいなど、いいことずくめなのです。

鍋のフタをあけるアンガールズ田中さん

田中:うちは、ダイニングテーブルを置くと部屋が狭く感じるので、ソファに座って低いテーブルで食べているんです。

菅村:本来は背当てと座面のクッションが固めの方が、ご飯は食べやすいです。

田中:そうなんです。結局、床に座ってソファに背中を当てて食べちゃう(笑)。

「男の椅子」
秋岡芳夫氏が1981年に発表した「男の椅子」は、同社のベストセラー。13万8600円(税込み)。奥行きが深いので脚の長い男性が座っても快適で、ひじ掛けも末広がりでゆったり。オリジナルの家具はすべて北海道産のナラ材を使用 撮影/加藤晋平

菅村:日本人にありがちなスタイルですね。日本人は昔から畳で暮らしてきたので、当社のテーブルは座卓の延長線上に、椅子は座布団や床座の延長線上にあるという考え方です。ベストセラーの「男の椅子」はあぐらをかいたり、斜め座りしたりできるようになっています。

田中:その方が結局ラクなんですよね。ボクもラジオの収録のとき、よく椅子の上で正座してしゃべっています。

親子の椅子
1980年に発表された秋岡芳夫氏デザインの「親子の椅子」。親と子が横に並んで座れるので、子育てにぴったり。ひとりで使うときは脚を伸ばしてくつろげる。セットで29万7000円(税込み) 撮影/加藤晋平

菅村:畳を家具化するプロジェクトから生まれた「親子の椅子」は、3つの椅子を組み合わせると長椅子になり、脚を伸ばしてカウチのように使えるのが特徴です。

親子椅子でくつろぐアンガールズ田中さん

田中:フレキシブルで、いろんなシチュエーションに対応できるんですね。

「箱TATAMI」

菅村:もうひとつが、畳のサイズそのものを見直した「箱TATAM」。収納を兼ねており、今では類似品がたくさん売られていますが、弊社が1970年代に旭川の工芸センターと共同開発したもので、元祖といっていいと思います。