やることが多く、気忙しい年末年始。文筆家の朝倉真弓さん(現在50代)は、年齢とともに過ごし方が変わってきたといいます。ここでは、“ほどよく”手を抜くようにシフトしたという大掃除、おせちづくりなど年末年始の恒例行事、50代になって感じる義実家や実家に対する思いなどについて語ります。
すべての画像を見る(全5枚)実家訪問をしなくなった、50代夫婦の静かな年末年始
若い頃は忘年会もそれなりの数があり、年始は夫と私の実家訪問がお決まりの行事でした。
私たち夫婦の実家は自宅と同じ県内にあるので、泊まりがけの帰省ではなく、日帰りで顔を出すのが恒例。夫の実家は、義母が手づくりの黒豆やお煮しめ、酢レンコンなど豪華なおせち料理を用意してくれており、朝いちばんに訪問して義父の「あけましておめでとうございます」のあいさつとともにいただくのが楽しみでした。
逆に、私の実家には夜に訪れるのが定番。こちらは飲兵衛ぞろいなので、おせちをつまみながら新年の初飲みに興じるのが常でした。
ところが、コロナ禍を経て忘年会は少なめに。わが家に人を招くことも減りました。
また、義父が亡くなり、義母も特別におせちの用意をしなくなったとのこと。私の両親も実家をたたんでケアハウスに入居したため、年末年始の恒例行事もなくなりました。
嫁として義実家や実家の手伝いをすることはなくなりましたが、子どもがいない夫婦ふたり暮らしなので、帰省してくる子たちを迎えることもありません。
そんな50代夫婦の年末年始の過ごし方は、「常識にとらわれず適当に手を抜く」に尽きます。
大掃除は出入り口のみ、キッチン掃除は夏にもち越し
わが家の大掃除は、玄関まわりや窓など、普段あまり掃除が行き届かない部分を丁寧に。庭木の手入れをするのは夫の役割です。
キッチンの換気扇や水まわりの大掃除は、あえてこの寒い季節にはせず、夏休みの恒例行事にしています。油汚れは、暖かい気候のほうが簡単に落ちるような気がするからです。
年神様も、玄関さえキレイにしておけば許してくれるかな…なんて、都合よく考えています。
おせちは習わしにこだわらず、好きなものを和の器で
おせち料理は、自分たちが好きなものだけをつくり、あとは市販のものを織り交ぜています。
とはいえ、「いかにもおせち」という料理ではなく、普通の煮物をお重につめるとか、普段でもたまにつくる煮豚をちょっと豪華に盛りつけるといった形でお茶を濁しています。
料理の内容というよりは、重箱や漆塗りの器など、和を感じる食器によって年始のおめでたさを演出している感覚です。
じつは、個人的におせちの定番である数の子や酢ダコが苦手です。もしもひとり暮らしだったら食卓に登場することはないと思いますが、夫が好きなので毎年購入しています。
夫のおかげで、かろうじて年始らしい彩りの食卓になっているのかもしれません。