家好き芸人・アンガールズ田中さんが、もとのよさを生かしてリノベーションした、築90年近い洋館つき和風住宅を訪ねました。場所は、東京の北千住。有形文化財に登録された住宅が、地元に愛される和食店に大変身。敷地の中には、隠れ家バーや行列のできるかき氷カフェも。改修を手掛けたボタンデザインの村上譲さんの話に興味津々です。

縁側に腰かけるアンガールズ田中さん
庭を眺めながらほっこりするアンガールズ田中さんと、改修を担当した村上さん
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歴史を感じさせる住宅を和食店として受け継ぐ

外観

村上:この建物は、昭和13年に建てられた東京・北千住の旧板垣邸を、日本料理店「和食 板垣」としてリノベーションしたものです。2019年頃まで板垣家の方が住んでいましたが、売却を検討。現在のオーナーが、「子どもの頃から親しんだ街の風景を残したい」と、土地・建物を購入することに。飲食店として運営することで維持していきたい、とリノベーションの依頼を受けました。

田中:ディテールも凝っているし、かなり立派なお屋敷だったんでしょうね。

村上:はい。ですのでリノベーションでは、新しいデザインを加えるのではなく、できるだけもとの建築を尊重し、使えるものは使うことを心掛けました。

洗い出し仕上げの土間と大きな沓脱ぎ石

田中:玄関もすごく趣があります。

村上:洗い出しの土間も沓(靴)脱ぎ石も、元のままです。一方、厨房やカウンターの部分は、現代の暮らしに合わせてユニットバスなどが設置されていたので、丸ごと撤去して完全に新しくしました。

田中:モダンでカッコいいですよね。いつかカウンターで食事をしてみたいな。

新たに設けたカウンターと厨房スペース

新たに設けたカウンターと厨房スペース。天井を外して構造を現しにしたことで、開放的な空間に。特注のペンダントライトもモダンな雰囲気を演出しています。

お造り

京都の名店で修業を積んだ料理長が生み出す「和食 板垣」の料理は、旬の食材を使い、盛りつけも繊細なものばかり。

●有形文化財に登録された旧板垣家住宅とは?

上棟式の様子

旧板垣家は、東京市議会議員を務めた板垣信春氏が1938(昭和13)年に建てたもので、写真は上棟式の様子。大規模な工事だったことがわかります。

大正期から昭和初期にかけて多く見られた、洋風の応接間がついた和風住宅で、2022年に国登録有形文化財に指定されました。