「親のお金」の管理法を決めて、トラブルを回避

兄弟間トラブルのイメージ
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「すでにお話ししたように、『親の介護は親のお金で』が基本ですから、介護が始まったら、親のお金をスムーズに入出金できるようにしておく必要があります」

その際、もっともよくあるのがキャッシュカードの暗証番号を聞いておくという方法。そのほか、「代理人カード」や「預かり金」「家族信託」など、いくつかやり方はあるそう。ただ、こうした準備がないまま、親と意思の疎通ができなくなるケースも。

「その場合は、『成年後見制度』を活用することができます。でも、決して柔軟な制度ではありませんので、親が元気なうちに話し合っておくのがいちばんです」

そして、親のお金の管理が始まったら気をつけたいことも。

「きょうだいがいる場合、そもそもだれが管理するのかを決めておく必要があります。そして、『介護家計簿』をつけ、レシートや領収書を残すのがおすすめ。できれば、その家計簿はきょうだい間でもオープンにしておくといい。面倒ではありますが、いらぬトラブルを回避することができます」

●代理人カード

「代理人カード」とは指定された人が使える2枚目のキャッシュカードのこと。口座の名義人、つまり、親が申請するものなので、親が元気なうちにつくっておく必要があります。

代理人カードを使えば、入出金はスムーズにできますが、限度額が設定されていたり、定期預金の解約ができなかったり制約があることも。どこまで可能か金融機関に確認を。

●預かり金

介護費用として、親から定期預金通帳やまとまったお金を預かったりするケースもあります。

親名義のままだと管理が難しいので、自分名義の口座を新たにつくって入金。このとき親子間で「覚書書」を交わすことが重要です。覚書書がないと、贈与したものとみなされ、贈与税がかかることも。親が亡くなり、預かったお金が残っていた場合は、相続財産となります。

●家族信託

親が元気なうちに信頼できる家族に対し、お金や不動産などの財産の管理・処分を託すのが「家族信託」。契約書を交わすだけなので手軽ですが、税金や相続なども複雑にからんでくるため、専門家に相談するのがおすすめ。

きょうだいのなかの1人が財産の管理をすることになるので、トラブルを避けるためにも事前によく話し合っておくことが重要。

●成年後見制度

親と意思疎通が図れなくなったときに活用できるのが「成年後見制度」。家庭裁判所に申し立て、後見人に選ばれると財産の管理や契約ができるようになります。ただし、時間と費用がかかること、家族が後見人に選ばれるとは限らないことなど、難しい面も。

親の判断力があるうちであれば、公正証書を交わし支援者を決めておく「任意後見制度」もあります。

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