災害時、大切になってくるのが、なにを優先するのかということ。自衛隊危機管理教官・川口拓さんさんによると、「セイクレッドオーダー」と呼ばれる基本の優先順位を理解すれば、命を守るための行動がスムーズになるそうです。ここでは、川口さんに命を守る優先順位に加え、パニックを防ぐための「STOP」指針を教えてもらいました。危機的状況でも冷静に対応できる方法を、ぜひ身につけましょう。
すべての画像を見る(全4枚)命を守る「5つ」の優先順位
人間が生存するために必要な要素を優先順に並べたものを、「セイクレッドオーダー」といいます。
川口さんによると、まず確保しなければならないのは「空気」です。というのも、空気がないと3分で命を落としてしまいます。空気が不足することはあまりありませんが、火災が起きればそういう状況もあり得えるので注意が必要です。
2つ目は「体温」。命を落とすまでの時間の目安は3時間といわれ、夏でも濡れた状態で風にあたると急激に体温を失います。実際、アウトドアでの死亡の原因のほとんどは低体温症によるものだそう。
3つ目は「水」です。人間が水を飲まずに生きられる時間はおよそ72時間。それまでになんらかの方法で飲料水を得ることが求められます。
4つ目は「火」。火が入るのは意外かもしれませんが、調理をする熱や明かりとなる光が得られる火は、人にとってとても重要なものです。
「食」は5番目。じつは人間は食料がなくても3週間から30日は生き延びることができます。それだけ余裕があるので、優先順位としては最後になります。
危機的状況に陥ったときには、この順番を意識して生存計画を立てるようにしましょう。また、この法則はアウトドアにも災害時にも当てはまるものなので、ぜひ覚えておきたいものです。
「セイクレッドオーダー」で生き残る
上記の「セイクレッドオーダー」を、実際に状況に当てはめてみました。
●1:体温を保持する
<シェルターの確保>
状況によってはなにもする必要はありませんが、気温が低い、雨や風が体にあたっているといった状況下では、体温を放出しないよう、シェルターが必要になります。とにかく体温を保持することを最優先して考えましょう。
●2:飲み水を確保する
<浄水を得る>
体温を確保できたら、次は飲料水を手に入れます。サバイバルでは「水にあたることは死を意味する」ともいわれるくらい。あやしいと思ったら煮沸や薬品などで浄水処理を行いないましょう。
●3:火を確保する
<焚き火>
火は3番目になっていますが、たとえば飲み水を煮沸消毒しなければならない場合などは早急に必要です。「食」の猶予が3週間あるので、ここまでの要素を確保できればひとまず安心。