現在6年生の娘さんの中学受験に並走するESSEonlineライターで、元中学受験塾講師の高梨リンカさん。じつは娘さんを塾へ入れたときは中学受験に消極的で、受験前に退塾することも視野に入れていたといいます。講師として多くの中学受験に挑む子どもたちを見てきたうえで、わが子の受験を決めた理由と受験するメリットとデメリットについて聞きました。

勉強中の子どもの手元
中学受験講師のわが子の受験

「楽しそう」と塾通いを始めた娘

娘はもともと集団行動が好きな子でした。幼稚園や学校も好きで、勉強も楽しく取り組んでいました。学校でも頭がいいというほどではありませんでしたが、宿題はきっちり提出して褒められたいタイプです。

親が元塾講師ということで、小学校に入ってすぐ塾という場所に興味を持ちました。しかし受験がメインというわけではなく、科目ごとに先生が変わったり、専門のテキストがあったりという点に魅力を感じたようです。

興味は意欲となり、小学2年生で入塾テストを受けましたが、1度目は不合格でした。それが悔しかったようで、勉強を続けて2度目にようやく合格し、晴れて中学受験塾へ通うこととなったのです。

電車での通塾や学校とは違う授業進度も楽しんでいましたが、中学受験には興味がないようで、入塾してすぐ娘と話し合い5年生には退塾する予定でいました。しかし、通塾しているうち受験に興味が出たようで5年生になっても塾はやめず、ついには「私も受験したい」と言い出すように。しかし、親としては受験には消極的でした。

子どもは意外と「塾が好き」

私は中学受験塾に長年勤めていましたが、子どもは意外と塾が好きなんですよね。塾に来て勉強をしない子はほとんどいません。文句は言いつつも結局がんばるんです。受験という大きな目標のために、少しずつ勉強してテストをして向かっていくのは充実感があるのでしょう。

親御さんと二人三脚にはなりますが、小学生から自分で進路を決める経験ができるのもすばらしい経験だと思います。

中学受験で得るものは非常に大きいので、子どもの性格と環境がゆるせばぜひチャレンジしてほしいし、させたいという気持ちはありました。

親は費用と心の余裕が気になる

しかし、得られるものが大きいとはいえ、わが家の場合はかかる費用や労力、本人の成績や性格を考えると、娘に中学受験をさせることには消極的でした。

中学受験には多くの費用がかかります。大手塾の6年生だと年間150万円ほどかかるといわれ、私立中学に合格した場合は学費もまた費用がかさむこととなります。子どもを塾に通わせ家庭でも勉強させるとなれば、私は仕事をセーブせざるを得ません。収入が減って支出だけが大幅に上がるのはかなり苦しかったんですよね。

それでも、子どもが難関校を狙えるというのなら、リターンは大きいかもしれません。しかし、入塾後のテストを見ていると娘には難関校を狙うだけの偏差値は難しそうだと感じました。それならばわざわざ中学受験をしなくてもよいのではと思ったのです。