いつも自信にあふれて脳が活性化している子と、自分に自信がなくて脳がいまいち活性化しきれていない子の違い。その差は、毎日のちょっとした日常習慣に隠れているのだとか。子どもの脳を活性化し、自己肯定感の高い子に育てるために実践すべき日常習慣について、脳科学者の黒川伊保子さんに教えてもらいました。

授業
自己肯定感は生活習慣がつくる※写真はイメージです
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自己肯定感とは、自分の脳に対する信頼

自己肯定感は、「人に認められて高まるもの」だと思っている人は多いかと思います。仕事の成果や才能で認められ、あるいは容姿で褒められ周囲の大切にされたら、さぞかし自己肯定感も高まるだろう、と。でも、それが案外そうでもないのです。

脳を機能性分析していくと、客観性評価に関わるところには自己肯定感は見当たらない。他者に認められたり、褒められたりしたとき、たしかに脳には快楽性のホルモンが誘発されますが、それは一時的なもの。他人の評価が下がれば、容易に自分を肯定できなくなってしまいます。

自己肯定感とは、他人の評価とは無関係に、自らの脳に自噴してくるもの。脳がスムーズに動いているときに自覚する感覚です。脳がスムーズに動くというのは、脳神経信号が起こるべきときに起きるべき場所で起きて、減速しない、減衰しないこと。

そうすると、もくろみ通りに脳が動く。好奇心にあふれ、集中力があり、意欲が萎えない。そんな日々を重ねているうちに、脳が自覚するのが自己肯定感。つまり、自己肯定感とは「自分の脳に対する信頼」なのです。

自己肯定感は、生活習慣がつくる

朝活
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脳神経信号をスムーズにするコツは、じつのところ、生活習慣しかありません。早寝・早起き・朝ごはん・適度な運動。私が、「脳育ての黄金ルール」と呼んでいる生活習慣です。

脳には、脳神経信号を制御するホルモンが出ています。アクセル役のセロトニン、ドーパミン、ブレーキ役のメラトニン、ノルアドレナリンです。アクセルとブレーキをうまく利かすことによって脳は「脳神経信号が起こるべきときに起きるべき場所で起きて、減速しない、減衰しない」状態をキープしています。

ブレーキ役がなぜ必要かって? ブレーキ役のホルモンは、「無駄なところに電気信号が発散しないように」してくれているのです。

セロトニンは、朝日が網膜に当たり、しっかりと朝ごはんを食べることで分泌します。メラトニンは網膜が暗さを感じたとき、ドーパミンとノルアドレナリンは身体を動かしたときに。

つまり、いい生活習慣が、脳に自己肯定感を自噴させていることになります。自己肯定感は、言葉なんかじゃつくれません。もちろん、自己肯定感のある子を前に向かせてあげる言葉はたくさんあるけれど、まずは、自己肯定感を自噴させてあげなきゃいけません。

もし、自分の孫が不登校や引きこもりになったなら?

不登校
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ただし、自己肯定感を削ぐ言葉はあります。いじめで使われる言葉は、それの最たるもの。「お前は、ここにいる価値がない」「お前は、ここにいてはいけない」、それを、手を替え品を替え、様々な言葉と態度で与えられ続けるのだから。自分の脳を疑い、脳のすべての出力に確信がもてない。

こうなると、人は生きていることさえ罪のように思えてきます。まさに脳への拷問です。いじめほどでなくても、自己肯定感自体が低いと、学校はかなりいづらい場所になってしまいます。

というわけで、祖父母の立場からの不登校や引きこもりへの対処は2つ。孫の生活習慣を見直して、自己肯定感を自噴させてやると共に、彼(彼女)の自己肯定感を削ぐ言葉から守ってやること。ここに、祖父母の役割は大きいです。