屋外だけでなく、家の中でもかかる人が増加している熱中症。命の危険性もある熱中症の対策と正しい応急手当を、日本赤十字社の中村秀徳さんに教えてもらいました。 いざというときあわてないよう、チェックしていきましょう。
すべての画像を見る(全10枚)対策&応急手当を知っておくことがなにより大切に
「高温や多湿、風が弱い、地面などからの照り返しによる輻射熱があるなど、暑くなる季節の環境下では、体から外気への熱放散が減少し、汗の蒸発が不十分に。すると、体内に熱がこもった状態になり、熱中症になることもあります」と語るのは、日本赤十字社の中村秀徳さん。
とくに子どもや高齢者などは熱中症にかかりやすいので、周囲の配慮が必要だと強調します。そこで今回は、中村さんに具体的な熱中症対策のポイントと、いざというときの応急手当を教えてもらいました。
●熱中症対策のポイント
・のどが渇いていなくても、こまめに水分補給
・運動や入浴などで、日頃から汗をかく習慣を
・室内ではエアコンを適切に使用する
・睡眠不足など体調不良時は外出を控える
・外出時は体温の上昇を抑えるグッズを活用する
応急手当ステップ1:声をかけながら意識の確認
まず、周囲の安全を確認し「もしもし、大丈夫ですか?」と声をかけます。軽く肩をたたきながら、大きな声で何度も声がけをしましょう。
●意識がない場合
すぐに119番(救急車)通報を。併せてAED(児童対外式除細動器)の手配をしましょう。
●呼吸の確認の仕方
次に胸やおなかの動きを10秒以内で見て、呼吸が普段どおりかどうかを確認します。普段どおりの呼吸がなければ心停止のサイン。一時救命処置を続けましょう。
応急手当ステップ2:日陰や涼しい場所に移動させる
移動が可能であれば、風通しのよい日陰や冷房が効いた室内に。本人が動けるようなら肩を貸すなどサポートを。自力歩行が難しい場合は、周囲の人の協力を得て、複数人で運びましょう。
●ラクな姿勢で寝かせる
寝かせるときは、あお向けで水平にするのが原則。ただし、「横向きの方がラク」、「足を高くしたい」など、本人が望む姿勢があれば、優先してあげましょう。
応急手当ステップ3:厚手の衣服は脱がせて、体の熱を放散させる
生地の厚い衣服は脱がせ、ボタンやベルトなど締めつけているものがあれば外し、体から熱が放散しやすいようにサポート。胸やおなかなど体の表面に水をかけたり、濡れたタオルでおおったり、うちわなどであおぐなど、体をできるだけ冷やしましょう。
応急手当ステップ4:水分補給は必ず自力で飲ませる
吐き気や嘔吐がなければ、水分補給を。経口補水液やスポーツドリンク、または薄い食塩水など、水だけでなく塩分を同時に摂取できるものがおすすめです。さらに飲むときは、必ず自力で飲ませるように。自力で飲めない場合など、判断に迷うときは119番通報を。
●これはNG!無理に飲ませようとするのは危険!
水分が誤って気道に流れ込む可能性があるため、無理に飲ませようとするのは厳禁です。
応急手当ステップ5:太い血管が通っている場所を冷やす
首やわきの下、太もものつけ根など、皮膚のすぐ下に流れている大動脈を中心に、アイスパックなどで冷やします。なければ、冷たいペットボトルでもOK。また、体温を下げる動きのある血管が通る手のひらや、足の裏などを冷やすのも有効。