更年期の期間や症状が出る要因などについて、産婦人科専門医の高尾美穂先生にお聞きしました。体のほてりや動悸、倦怠感などの症状を和らげるために意識したいことや、更年期症状と間違えやすい病気についても解説していただきます。
すべての画像を見る(全3枚)閉経前後5年間の更年期。症状の現れ方には個人差が
「更年期」とは、閉経をはさむ前後5年間。日本人の平均的な閉経は50歳ぐらいで、その前と後の10年間を、更年期と呼びます。
「更年期には女性ホルモンの分泌量が急激に減少。その過程でホルモン値が乱高下するため、自律神経が乱れやすくなることが、更年期の不調の大きな原因です。更年期の女性ホルモンの乱れによるさまざまな不調を『更年期症状』、その症状が重く、治療が必要な場合を『更年期障害』と呼びます。更年期の女性の6割が更年期症状を経験しますが、残りの4割は、とくに不調を感じずに過ごします」と話すのは、産婦人科専門医の高尾美穂先生。
つまり、「更年期」はだれにでも訪れますが、「更年期症状」には個人差が。
「更年期の症状は、女性ホルモンの減少に加え、体質や性格、環境にも影響されます。PMS(月経前症候群)が重い人は更年期症状が出やすい傾向があり、真面目で几帳面な性格や、人間関係、子どもの巣立ちによる喪失感といった環境も、症状がひどくなる要因に。1人で抱えず、周囲や婦人科に相談したり、頼ったりしながら乗りきりましょう」(高尾先生、以下同)
●更年期症状が現れる要因
女性ホルモンの減少に加え、それぞれの体質や性格、置かれた環境やストレスなどが重なると、症状が出やすくなることも。
つらい症状があれば婦人科へ。日々のセルフケアも大切
「更年期症状かと思ったら、別の病気が隠れていたということもあるので、自分の健康を見直す機会と捉え、迷わず受診しましょう。更年期症状が重い人は、ホルモン補充療法『HRT』で改善することも。はり薬や塗り薬がおすすめで、将来的な動脈硬化や骨粗しょう症などの予防にもなります」
漢方薬や、大豆イソフラボン由来の成分を抽出した「エクオール」などのサプリメントが効果的なことも。さらに、セルフケアや生活習慣の見直しは、今後の健康的な生活を維持するうえで重要です。
「暮らしに無理なく取り入れられるので、ぜひ実践を」