快適な住まいは、年齢によって変化することも。ひとり暮らし歴35年の酒井理砂子さん(現在56歳)は、40代後半のときマンションから一戸建てに住み替えました。「女ひとりで戸建て?」「さびしくないの?」そんな声も聞こえてきそうですが、酒井さんは楽しんで暮らしています。一戸建てにひとりで過ごす快適さと、住んでみてわかったデメリットについて伺いました。
すべての画像を見る(全6枚)広すぎる都心のマンションから静かな場所へ住み替え
30歳のときに購入したマンションを売却し、47歳のときに一戸建てを注文住宅で建てました。
札幌の中心部にあったマンションは、利便性もよく通勤にも便利な場所でしたが、40歳も半ばを過ぎると「もっと静かに暮らしたい」と思うようになったのが住み替えを考え始めたきっかけです。
また、30歳のときは「将来家族が増えるかもしれない」という期待(?)もあり、大は小を兼ねる的な発想で購入しちゃったので、ひとり暮らしにはちょっと広すぎる大きさ(80平米)でした。40歳くらいまでは、友人たちを招待してホームパーティーを開催したりして、広さもそれなりに活用していましたが、年々そういうガヤガヤしたことも億劫になってきて…。
ちょっと疲れちゃったんでしょうね。それで、当初は静かな場所にある、小さな中古マンションに住み替えを考え始めました。
ペット可の希望物件が見つからず、一戸建てが視野に
賃貸でも手頃の物件があればそれでもよかったのですが、ペット可というが必須条件ということもあり、なかなかよい物件に出合えず…。中古マンションも同様で、ペット可の物件はまだまだ少ないのが現状です。
そこで一戸建てという選択肢が挙がってきました。周囲にも、独身でマンション購入した女性は何人かいましたが、一戸建てを購入した人はいません。でも、いろいろ調べているうちに「一戸建て、ありじゃない?」と思うようになってきました。なにがいいって、マンションで不満に感じていたことがすべて解決できるのです。
マンションで不満に感じていたのは、使ってもいない駐車場やロードヒーティング(凍結防止のために熱で雪を溶かす装置)の燃料費なども管理費として徴収されること。共用部分の修繕など、私が必要ないと思っても管理組合の多数決で決まること。階下など周囲の住民に生活音の配慮が必要なこと。
これらの不満が解消されるなら、一戸建ての方が多少予算をかけても得られるメリットが大きいと判断しました。
建売はファミリー向け物件が多いので注文住宅を選択
暮らしを小さくしたいという希望もあったので、建売の選択肢はありませんでした。一戸建てを購入するのはやはりファミリーが一般的。建売として販売されている住宅のほとんどは夫婦と子ども2人にぴったりな間取りばかり。
そこで注文住宅一択となるわけですが、予算と土地と建築会社の選択についてもいろいろ悩みましたが、長くなるので割愛します。
時間をかけて出合えた建築会社は地元の中堅工務店でしたが、じつに楽しい家づくりの期間を過ごすことができました。
「こんな暮らしがしたい」という具体的な希望が明確だったのが、よかったのだと思います。外壁の色、洗面所の形、床材の種類、照明の位置、すべて自分の好きなように決められて、悩む時間もとても楽しかったです。